Benchmark Review — ZBOX MAGNUS ONE ULTRA

ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080CRTX 5080 16GB × 20コア Core Ultra 7、11.46L の実力

デスクトップ版 GeForce RTX 5080 16GB と Core Ultra 7 265(20コア)を、850W 電源を内蔵した 11.46L の筐体に収めたミニPC「ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C」。 3DMarkによるグラフィックス性能、GPUレンダリング、AI画像生成、CPU性能、写真編集まで、社内計測のベンチマークから 同じ MAGNUS 系の RTX 5070 Ti・RTX 5070・RTX 5060 Ti に対する位置づけ、16GB VRAM が効く場面、そして 大きめの筐体がもたらす冷却の余裕を、用途選定の参考となるよう中立に読み解きます。

デスクトップ RTX 5080 16GB 20コア Core Ultra 7 265 11.46L コンパクト筐体 850W 内蔵電源 Thunderbolt 4 / Dual LAN 5GbE / Wi-Fi 7
ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C 公式キービジュアル — MAGNUS ONE ULTRA / FOR EXTREME GAMING AND ADVANCED ON-DEVICE AI / GeForce RTX 5080 GPU・デスクトップ Intel Core Ultra 7 プロセッサー 265・最大96GB DDR5
ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C — デスクトップ版 GeForce RTX 5080 とデスクトップ版 Core Ultra 7 265 を収めた 11.46L のミニPC。(ZOTAC 公式キービジュアル)

実測サマリー(3行)

  • 3DMark(グラフィックス性能)・GPUレンダリング・AI のすべてで 比較した ZBOX MAGNUS 系7機のトップ(Time Spy Extreme 14,859 / Speed Way 8,989 / Steel Nomad 8,588、Blender OptiX 9,329)。3DMark・GPUレンダリングでは RTX 5070 Ti に対して +15〜30%、RTX 5060 Ti に対して +78〜137%。AI(ComfyUI SDXL)は生成時間で 5070 Ti 比 15〜18%・5060 Ti 比 50〜53% 短縮
  • ComfyUI SDXL 6.04 秒/枚は RTX 5060 Ti(12.08 秒/枚)のちょうど半分の生成時間。VRAM は 16GB で、Hires.Fix 連続生成時の実測ピークは 13.2GB=容量に余裕を残します。
  • 最大負荷でも GPU 69/73°C・ファン 48〜51%。同じ ZOTAC 設計の 8.48L 機(RTX 5070 / 81/84°C・ファン 91%)に対し、約1.3倍の電力を投入しながら 12°C 低く、ファン回転はおよそ半分。テスト構成: メモリ32GB・電源プラン=高パフォーマンス。
01 / 概要

MAGNUS ONE の上に立つ「ULTRA」— 奥行きを伸ばして RTX 5080 と 850W 電源を収める

ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C は、ZOTAC のミニPC「ZBOX MAGNUS」シリーズの最上位にあたるモデルで、GeForce RTX 5080 16GB(Blackwell 世代 / DLSS 4.5)と Intel Core Ultra 7 265(20コア)を組み合わせています。 PCIe 5.0 x16 のデスクトップGPUカードに、ソケット式のデスクトップCPU(Socket 1851 LGA)を組み合わせた Intel デスクトップ構成です。

名前が似ている MAGNUS ONE(EU275070C など)とは別シリーズの別筐体です。幅126mm・高さ249mm は共通ですが、奥行きが 270.5mm から 365.5mm へ伸び、容積は 8.48L から 11.46L に、内蔵電源は 500W から 850W になりました(本体重量 6.35kg)。最大 360W・2.5スロット・全長 303.5mm までのGPUを収める枠が確保されており、RTX 5080 クラスを積むための拡張が、そのまま冷却と電源の余裕にもなっています(実測は §08)。

本機はベアボーン構成で、メモリ・ストレージは導入側で選定・増設できます(本レビューのテスト機は 32GB DDR5-5600 + 1TB NVMe SSD)。 CPU はソケット式、GPU は PCIe カードというデスクトップと同じ実装ですが、ユーザーによる CPU・GPU の交換は公式にはサポート・保証の対象外です。導入時の構成選定と、メモリ・ストレージの増設が実務上の可変部分になります。 デスクトップ版 GeForce RTX 5080 を搭載するミニPCとしては世界最小クラス(2026年7月時点・ZOTAC 調べ)で、一般的なミニPC(NUC型など)より大きいものの、単体GPUを積めるミニPCの最上位クラスにあたります。

搭載するGPU・CPUの基礎知識

GPUGeForce RTX 5080 とは

NVIDIA の Blackwell 世代(RTX 50 シリーズ)の上位デスクトップGPU。本機の搭載モデルは VRAM 16GB(GDDR7 / 256-bit)。前世代から、より高速な GDDR7 メモリ、フレーム生成を強化した DLSS 4.5、新世代のレイトレ/AI(Tensor)ユニットへ更新された世代です。

ポイントゲームに加えてローカルでのAI画像生成・推論の需要が広がり、描画性能と VRAM容量(扱えるモデル規模・解像度)の両方が重視されるようになっています。RTX 5080 は、4K 描画・GPUレンダ・ローカルAIをまとめてこなせるハイエンド帯のGPUです。

CPUCore Ultra 7 265 とは

Intel の Core Ultra シリーズ2(Arrow Lake)世代のデスクトップ向けCPU。高性能Pコア8+高効率Eコア12 の 20コア / 20スレッド、最大約5.3GHz、ソケット式 LGA1851。前世代までの Hyper-Threading を採用せず、物理コア重視へ切り替わった世代です。

ポイント機能ブロックを分けた「タイル(チップレット)」構成と、AI処理用ユニット(NPU)を備える「AI PC」世代。電力効率を重視しつつ、デスクトップ向けはソケット式で、自作PCなどでは単体での交換・保守がしやすいのが一般的な特徴です。

ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C ミニPC本体(前面3/4・ハニカムメッシュ天板と側面吸気)
ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C 本体 — 11.46L 筐体(ハニカムメッシュ天板・側面吸気)。奥行き 365.5mm が MAGNUS ONE との主な違い。(ZOTAC 製品写真)

実機のハードウェア確認(GPU-Z / CPU-Z)

テスト機の構成を GPU-Z・CPU-Z のメイン画面で確認します。GPU は ZOTAC 製の GeForce RTX 5080(GB203 / 5nm / 16,384MB GDDR7(Samsung)/ 256-bit / 10,752 シェーダー / Boost 2,617MHz / PCIe 5.0 x16・Resizable BAR 有効)、CPU は Core Ultra 7 265(Arrow Lake / Socket 1851 LGA / Pコア8+Eコア12 の 20スレッド / 3nm / TDP 65W / L3 30MB)。 マザーボードは ZOTAC ZBOX-EU275080C、チップセットは Intel B860 で、メモリは DDR5 SO-DIMM 16GB×2 の 32GB(DDR5-5600 / 4×32-bit)。いずれもカタログ仕様どおりの個体です。

GPU-Z メイン画面: NVIDIA GeForce RTX 5080 / GB203 / 5nm / 16384MB GDDR7 Samsung / 256bit / 10752 Unified シェーダー / Boost 2617MHz / PCIe 5.0 x16 / Resizable BAR 有効 / Driver 610.47
CPU-Z CPUタブ: Intel Core Ultra 7 265 / Arrow Lake / Socket 1851 LGA / 3nm / TDP 65W / 8P+12E 20スレッド / L3 30MB
左: GPU-Z(GeForce RTX 5080 / 16GB GDDR7 / 256-bit / GB203)。右: CPU-Z(Core Ultra 7 265 / デスクトップ Arrow Lake / 8P+12E・20スレッド)。詳細は各スクリーンショットを参照。
02 / テスト環境

テスト環境・比較機材・計測方法

テスト構成(実機計測)

製品 / SKUZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C(MAGNUS ONE ULTRA / Windows)
GPUZOTAC GAMING GeForce RTX 5080 16GB(GDDR7・256bit / Blackwell / GB203)
GPUドライバーNVIDIA GeForce 610.47
CPUIntel Core Ultra 7 265(20C / 20T・Arrow Lake / Socket 1851 LGA)
メモリ(テスト構成)32GB DDR5-5600(16GB×2)
ストレージNetac NVMe SSD 1TB ほか
OSWindows 11 Home 25H2(Build 26200)
電源プラン高パフォーマンス
計測日2026-07-22

製品仕様(カタログ / EU275080C)

グラフィックスZOTAC GAMING GeForce RTX 5080
16GB GDDR7 / 256-bit / Blackwell / DLSS 4.5(PCIe 5.0 x16)
GPU 互換条件: 最大 360W / 2.5 スロット / 最大 303.5mm
プロセッサーIntel Core Ultra 7 265(デスクトップ)
20コア / 20スレッド / 2.4–5.3GHz / 30MB キャッシュ / Arrow Lake / Socket 1851 LGA
チップセットIntel B860
メモリー2 × DDR5-6400 CSODIMM / 5600 SO-DIMM(最大96GB)
ストレージ1 × M.2 NVMe PCIe 5.0 ×4 + 1 × M.2 NVMe PCIe 4.0 ×4 + 1 × 2.5インチ SATA III
映像出力3 × DisplayPort 2.1b(UHBR20)+ HDMI 2.1b(GPU側4系統)/ iGPU側を併用して最大4画面クローン・6画面拡張
ネットワーク5GbE + Gigabit Ethernet(Dual LAN)/ Wi-Fi 7(802.11be)/ Bluetooth 5.4
前面 I/OUHS-II 3-in-1 カードリーダー / USB 3.2 Gen1(5Gbps)Type-A + Type-C / オーディオ
背面 I/O1 × Thunderbolt 4 / 4 × USB 3.2 Gen2(10Gbps)+ 2 × USB 3.2 Gen1(5Gbps)/ デュアル Wi-Fi アンテナ / Kensington ロック
電源850W PSU 内蔵
冷却ファン + ヒートシンク
外形・容積・重量365.5 × 126 × 249 mm(11.46L)/ 6.35kg
対応OSWindows 11
製品構成は2種類 EU275080C には ベアボーン(メモリ・ストレージ・OS を導入側で用意)と、Windows プリインストール(16GB DDR5-5600 + 1TB M.2 NVMe SSD + Windows 11 Home 導入済み、メモリスロット1本空き)の2構成があります。 本レビューのテスト機はベアボーンに 32GB + 1TB を実装した構成です。取り扱い品番は地域により異なるため、調達時は製品カタログで確認してください。

製品カタログで全仕様を見る(ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C)→

比較機材(すべて ZBOX MAGNUS 系)

公平性のため、比較は同じ ZBOX MAGNUS 系の実機に限定しています。同じ RTX 5070 が Intel版と AMD版の2台、RTX 4070 も Desktop(ERP74070C)と Laptop(EN374070C)の2台あるため、表記は GPU+CPUで区別します。各機は出荷時の代表構成で計測しました。

本記事の表記モデルSKUCPU
RTX 5080(本機)MAGNUS ONE ULTRAEU275080CCore Ultra 7 265
RTX 5070 TiMAGNUS ONEEU27507TCCore Ultra 7 265
RTX 5070(Intel)MAGNUS ONEEU275070CCore Ultra 7 265
RTX 5070(AMD)MAGNUS ONEER98N5070CRyzen 9 9850HX
RTX 5060 TiMAGNUS ENEN275060TCCore Ultra 7 255HX
RTX 4070 DesktopMAGNUS ONE(前世代)ERP74070CCore i7-13700
RTX 4070 LaptopMAGNUS EN(前世代)EN374070CCore i7-13700HX

MAGNUS ラインナップでの位置づけ

MAGNUS ONE ULTRA(本機 RTX 5080)MAGNUS ONE の奥行きを 270.5→365.5mm に伸ばした上位筐体(11.46L・850W 内蔵)。最大 360W / 2.5 スロット / 全長 303.5mm までのデスクトップGPUを収める枠を確保し、RTX 5080 クラスを積むための電源・冷却の余裕を持たせたシリーズ。
MAGNUS ONE(RTX 5070 Ti・RTX 5070・前世代 4070 Desktop)デスクトップ級のGPUを小型筐体に収めたシリーズ(8.48L・500W 内蔵)。デスクトップ版CPU(ソケット式)+デスクトップGPUカードで、サイズと拡張性・性能のバランスを採る構成。
MAGNUS EN(RTX 5060 Ti・前世代 4070 Laptop)2.65L という非常にコンパクトな筐体に、モバイルCPU×デスクトップGPUを収めた高密度ミニPC。サイズを最優先したシリーズ。
計測方法 数値は社内のベンチマーク自動化環境による実測の中央値(原則複数回、一部1回)。電源プランは 高パフォーマンス で計測しています。 グラフは単位と方向(高いほど良い/短いほど良い)のみ併記。ComfyUI は NVIDIA 環境のみ対象です。
03 / 3DMark

3DMark(グラフィックス性能)— 比較した MAGNUS 系のトップ、5070 Ti にも明確な差

DX12 Ultimate/レイトレを含む 3DMark の3テストで、本機 RTX 5080 は比較した ZBOX MAGNUS 系7機のすべてを上回りました。 同じ筐体世代の上位機である RTX 5070 Ti に対しても Steel Nomad +29.5%・Speed Way +20.3%・Time Spy Extreme +18.9% と明確な差がつきます。 RTX 5070(Intel版)に対しては +40.7〜62.6%、RTX 5060 Ti に対しては +93.6〜137% でした。 レイトレ比重の高い Steel Nomad ほど差が広がる傾向で、複数回計測での変動は cv 0.08〜0.27% と非常に安定しています。

補足 3DMarkはDirectX 12 / レイトレーシングを含む標準的なグラフィックス性能テストで、ゲームの描画性能の目安としても広く使われる定番指標です。本レビューでは実際の市販ゲームタイトルでのフレームレート計測は行っていません(クリエイティブ・AI用途中心の検証)。ゲーム用途の性能については別途ゲームタイトルでの確認をおすすめします。
3DMark Time Spy Extreme
score / 高いほど良い
RTX 5080(本機)EU275080C
14,859
RTX 5070 TiEU27507TC
12,501
RTX 5070(Intel)EU275070C
10,562
RTX 5070(AMD)ER98N5070C
10,365
RTX 4070 DesktopERP74070C
7,833
RTX 5060 TiEN275060TC
7,674
RTX 4070 LaptopEN374070C
5,527
3DMark Speed Way
score / 高いほど良い
RTX 5080(本機)EU275080C
8,989
RTX 5070 TiEU27507TC
7,474
RTX 5070(Intel)EU275070C
5,827
RTX 5070(AMD)ER98N5070C
5,769
RTX 4070 DesktopERP74070C
4,498
RTX 5060 TiEN275060TC
4,119
RTX 4070 LaptopEN374070C
2,951
3DMark Steel Nomad
score / 高いほど良い
RTX 5080(本機)EU275080C
8,588
RTX 5070 TiEU27507TC
6,634
RTX 5070(Intel)EU275070C
5,283
RTX 5070(AMD)ER98N5070C
5,251
RTX 4070 DesktopERP74070C
3,999
RTX 5060 TiEN275060TC
3,620
RTX 4070 LaptopEN374070C
2,662
04 / GPUレンダリング

GPUレンダリング — Blender・Cinebench とも比較群トップ

GPU レンダリングでも比較群の最上位でした。Cinebench 2026 GPU は 109,086 pts で RTX 5070 Ti(94,543)を 15.4%、RTX 5060 Ti(61,312)を 77.9% 上回ります。 Blender Benchmark(OptiX)は 9,329 で、5070 Ti(7,666)に 21.7%、RTX 5070(6,010)に 55.2% の差をつけました。 3DMark ほどではないものの、レンダリング系でも 5070 Ti に対して 15〜22% の一段上の性能が出ています。

Cinebench 2026(GPU)
pts / 高いほど良い
RTX 5080(本機)EU275080C
109,086
RTX 5070 TiEU27507TC
94,543
RTX 5070(Intel)EU275070C
74,746
RTX 5070(AMD)ER98N5070C
73,744
RTX 4070 DesktopERP74070C
68,598
RTX 5060 TiEN275060TC
61,312
RTX 4070 LaptopEN374070C
45,669
Blender Benchmark(GPU / OptiX)
samples/min 合算スコア / 高いほど良い
RTX 5080(本機)EU275080C
9,329
RTX 5070 TiEU27507TC
7,666
RTX 5070(Intel)EU275070C
6,010
RTX 5070(AMD)ER98N5070C
5,899
RTX 4070 DesktopERP74070C
5,320
RTX 5060 TiEN275060TC
4,327
RTX 4070 LaptopEN374070C
3,608
05 / 画像生成AI

ローカル画像生成AI(Stable Diffusion)— 5060 Ti の半分の時間、VRAM も 16GB

画像生成AI「Stable Diffusion(SDXL)」を ComfyUI で実測すると、本機 RTX 5080 は 1024×1024 / 30ステップで 6.04 秒/枚(9.94 枚/分)、 Hires.Fix(1024→1536)で 18.10 秒/枚を記録しました。RTX 5070 Ti(7.07 / 21.97 秒/枚)より 14.6〜17.6% 短く、 RTX 5060 Ti に対しては SDXL が ちょうど半分(12.08 秒/枚)、Hires.Fix は 半分以下(38.52 秒/枚に対し 47%)の生成時間です。

VRAM は 16GB(256-bit GDDR7)。Hires.Fix の連続生成中に実測した VRAM 使用量は ピーク 13.2GB(16GB 中)で、容量に余裕を残していました。 同じ MAGNUS 系の RTX 5070(12GB)は同条件で 11.5GB とほぼ上限に達していたため、SDXL の高解像度生成では 16GB が実際に効く場面があることが数字で確認できます。 速度と容量の両方を取れる構成という点が、5070 系との実用上の違いになります。

ComfyUI SDXL(1024×1024 / 30steps)
秒/枚 / 短いほど良い
RTX 5080(本機)EU275080C
6.04
RTX 5070 TiEU27507TC
7.07
RTX 5070(Intel)EU275070C
9.05
RTX 5070(AMD)ER98N5070C
9.09
RTX 4070 DesktopERP74070C
10.08
RTX 5060 TiEN275060TC
12.08
RTX 4070 LaptopEN374070C
15.15
ComfyUI SDXL + Hires.Fix(1024→1536)
秒/枚 / 短いほど良い
RTX 5080(本機)EU275080C
18.10
RTX 5070 TiEU27507TC
21.97
RTX 5070(Intel)EU275070C
28.29
RTX 5070(AMD)ER98N5070C
28.76
RTX 4070 DesktopERP74070C
31.32
RTX 5060 TiEN275060TC
38.52
RTX 4070 LaptopEN374070C
47.89
VRAM本機の GPU-Z 読みで 16,384MB(16GB)GDDR7・256bit。連続生成中の実測ピークは 13,564MiB(約13.2GB)でした。ComfyUI(SDXL)は CUDA(NVIDIA)環境のみが対象です。
06 / CPU性能

CPU性能 — 同じ Core Ultra 7 265 として整合する結果

本機の CPU は Core Ultra 7 265(20C/20T・デスクトップ Arrow Lake)で、これは比較群の RTX 5070 Ti(EU27507TC)・RTX 5070(EU275070C)と同じCPUです。 Cinebench 2026 CPU は 5,980 pts で比較群の最高値になりましたが、同じCPUを積む 5070 Ti(5,825)・5070(5,760)との差は 2.7〜3.8% にとどまります。 この差は3回計測のばらつき(cv 0.17〜1.11%)よりは大きいものの、3機とも同一の CPU 型番であることを踏まえると、GPU 構成の違いによる差ではなく、機体・BIOS・計測条件の違いによるものと考えられます(同一個体の反復や複数個体の比較は行っていないため、個体差の切り分けは本レビューの範囲外です)。前世代EN機の Core i7-13700HX(3,645)に対しては 64% 上回ります。

Cinebench 2026(CPU)
pts / 高いほど良い
Core Ultra 7 265(本機)EU275080C
5,980
Core Ultra 7 265(5070 Ti)EU27507TC
5,825
Core Ultra 7 265(5070)EU275070C
5,760
Core Ultra 7 255HXEN275060TC
5,618
Ryzen 9 9850HXER98N5070C
5,286
Core i7-13700ERP74070C
4,024
Core i7-13700HXEN374070C
3,645

※ Cinebench CPU の複数回計測でのばらつき(cv:変動係数 = 標準偏差÷平均×100%): 本機 = 0.95% / Core Ultra 7 265(5070 Ti)= 1.11% / Core Ultra 7 265(5070)= 0.17% / Core Ultra 7 255HX = 2.58% / Ryzen 9 9850HX = 8.09% / Core i7-13700 = 0.30% / Core i7-13700HX = 5.48%。値はいずれも3回計測の中央値。

全コアを長時間使う CPU レンダリングでも同じ傾向でした。本機の Blender Benchmark(CPU モード)は 合算 394(3回計測の中央値・cv 0.39%)で、同じ Core Ultra 7 265 の 5070 Ti 版(384)・5070 版(381)と 2.6〜3.6% 差。デスクトップ Core i7-13700(252)には 56% の差をつけています。

Blender Benchmark(CPU)
samples/min 合算スコア / 高いほど良い
Core Ultra 7 265(本機)EU275080C
394
Core Ultra 7 265(5070 Ti)EU27507TC
384
Core Ultra 7 265(5070)EU275070C
381
Core Ultra 7 255HXEN275060TC
372
Core i7-13700ERP74070C
252

※ Blender CPU の複数回計測でのばらつき(cv): 本機 = 0.39% / Core Ultra 7 265(5070 Ti)= 0.58% / Core Ultra 7 265(5070)= 0.26% / Core Ultra 7 255HX = 0.55% / Core i7-13700 = 4.14%。AMD版 5070(Ryzen 9 9850HX)・4070 Laptop(i7-13700HX)は Blender CPU を追加計測中で、整い次第この比較に追記します。

圧縮・展開(7-Zip)

7-Zip 26.00 のベンチマーク(20スレッド)では、本機は 147,392 MIPS(圧縮 139,987 / 展開 154,797)、3回計測での cv は 0.28% でした。 アーカイブ処理はメモリ帯域とコア数が効く指標で、20コアの Core Ultra 7 265 と DDR5-5600 の構成を把握する目安になります。 本指標は本機から計測を開始したため、現時点では比較機の実測値がなく、本稿では単独値として扱います。

07 / クリエイティブ

写真編集・オフィス(Procyon)

UL Procyon のオフィス(Essentials)は 4,994 で比較群トップでしたが、5070 Ti(4,907)・5070(4,884)との差は 1.8〜2.3% と僅差です。

一方、写真編集(Photoshop+Lightroom Classic)は 9,088 で比較群3位にとどまりました。AMD版 5070(9,882)が 8.7%、Intel版 5070(9,195)が 1.2% 本機を上回ります。 Photo Editing は GPU 単体ではなく CPU/メモリ/ストレージを含む複合ワークロードで、GPU の性能差がそのまま出る指標ではありません。 GPU を上位に替えても写真編集のスコアは伸びない、という点は選定時に押さえておく価値があります。 なお本機は本指標を3回計測しており(他機は1回)、cv は 1.79%(9,085〜9,371)でした。

UL Procyon — Photo Editing
score / 高いほど良い
RTX 5070(AMD)ER98N5070C
9,882
RTX 5070(Intel)EU275070C
9,195
RTX 5080(本機)EU275080C
9,088
RTX 5070 TiEU27507TC
8,922
RTX 4070 DesktopERP74070C
8,771
RTX 5060 TiEN275060TC
8,678
RTX 4070 LaptopEN374070C
6,404
UL Procyon — Office (Essentials)
score / 高いほど良い
RTX 5080(本機)EU275080C
4,994
RTX 5070 TiEU27507TC
4,907
RTX 5070(Intel)EU275070C
4,884
RTX 5070(AMD)ER98N5070C
4,766
RTX 4070 DesktopERP74070C
4,685
RTX 5060 TiEN275060TC
4,430
RTX 4070 LaptopEN374070C
3,728
08 / 安定性・温度

複数回計測でのばらつきと、実測した温度・電力

本プロジェクトが重視する 安定性指標。複数回計測を実施したテストの変動係数(cv:標準偏差÷平均×100%)を一覧します。 本機は 10テストすべてが cv 1.79% 以内、3D系にいたっては 0.08〜0.27% に収まりました。 本機は本プロジェクトで初めて Procyon Photo・Blender CPU・7-Zip も3回計測できたため、これまでで最も広い範囲の再現性を示せています。

テスト中央値min–maxcv%計測回
Time Spy Extreme14,85914,797–14,8700.273
Speed Way8,9898,989–9,0160.173
Steel Nomad8,5888,577–8,5900.083
Cinebench GPU109,086108,704–109,6070.423
Blender (OptiX)9,3299,304–9,3390.193
Cinebench CPU5,9805,885–5,9850.953
Blender (CPU)394394–3970.393
Procyon Photo9,0889,085–9,3711.793
Procyon Essentials4,9944,960–5,0090.503
7-Zip 26.00147,392147,367–148,1050.283

※ ComfyUI(SDXL / Hires)は1回計測のため cv は非算出。その他は3回計測の中央値。

安定性を支える冷却構造

複数回計測でのばらつきが小さい背景には、デスクトップ部品を収めるための冷却設計があります。分解図を見ると、天板と左右側面がいずれもハニカムメッシュで、筐体の三面が吸排気に使われていることが分かります。 内部は GPU カードとマザーボードが独立したブラケットで前後に分かれて配置され、その間に 850W の内蔵電源ユニットが収まる構成。CPU 側は 2基のブロワーファンとヒートパイプ+ヒートシンクで、GPU カード自身のファンとは別系統で排熱します。 奥行きを 365.5mm まで伸ばしたことで各ユニットが重ならずに並び、GPU・CPU・電源がそれぞれ独立した風路を持てています。次に、これが実際の温度とファン回転にどう表れるかを実測で確認します。

ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C 分解図 — 天板ハニカムメッシュカバー / 左右のメッシュ側板 / GPUブラケット / ZOTAC GAMING GeForce RTX 5080 カード / マザーボード / 前面パネル / 850W内蔵電源ユニット / デュアルブロワーファン+ヒートパイプのCPUクーラー / 底面トレイ
MAGNUS ONE ULTRA の分解図 — 天板ハニカムカバー・左右メッシュ側板・GPUブラケット+ ZOTAC GAMING GeForce RTX 5080 カード・マザーボード・前面パネル・850W 内蔵電源・CPU クーラー・底面トレイ。11.46L の筐体に、GPU/CPU/電源それぞれの風路を分けて確保している。(ZOTAC 公式レンダー)

CPU クーラー — 容積の一部を専用ユニットに充てている

分解図から CPU クーラーだけを取り出すと、構成がはっきりします。ブロワーファン1基と軸流ファン1基、CPU 受熱部から伸びる4本のヒートパイプ、そして3ブロックに分かれた放熱フィンで構成された、独立した組み立てユニットです。 GPU カードは自前のファンを持つため、CPU 側はこのユニットが単独で受け持ちます。奥行きを 95mm 伸ばして得た容積が、GPU の全長枠(最大 303.5mm)だけでなく、CPU 冷却の専用スペースにも配分されていることが見て取れます。

ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C の CPU クーラー — ブロワーファン1基+軸流ファン1基、4本のヒートパイプ、3ブロックの放熱フィン、スプリング式マウントネジで構成された独立ユニット
分解図から切り出した CPU クーラー — ブロワーファン+軸流ファンの2基構成、4本のヒートパイプ、3ブロックの放熱フィン。(ZOTAC 公式レンダーより該当部分を拡大)
読み方 ここで確認しておきたいのは、これが「大きい筐体のほうが優れている」という話ではないことです。ZBOX MAGNUS は 2.65L の MAGNUS EN、8.48L の MAGNUS ONE、11.46L の MAGNUS ONE ULTRA と容積の異なる複数のシリーズが並行して用意されており、それぞれの寸法に収まる冷却の作り方が別々に設計されています。 設置スペースが最優先なら 2.65L に収める設計が正解になりますし、その場合は当然クーラーの形も変わります。 選ぶ側にとって重要なのは優劣ではなく、「自分の設置条件に対して、どのサイズの設計解を選ぶか」という点です。本機については、11.46L という条件で採られた設計が実測でどう表れるかを次に確認します。

負荷段階別の実測 — 待機・ゲーム相当・最大負荷

ベンチマーク実行中の GPU を nvidia-smi で1秒間隔で連続記録し、負荷段階ごとに GPU 温度・コアクロック・消費電力・VRAM を集計しました。11.46L の筐体が RTX 5080 の発熱をどこまで受け止めるかを、実センサー値で確認します。

40 60 80 1000200 2000400 ~69°C 持続 GPU温度 (°C) コアクロック (MHz) / GPU消費電力 (W·カード単体) 標準生成 1024px 高解像度生成 1536px 切替の小休止 0 5 10
ComfyUI(Stable Diffusion XL)で AI 画像を 約14分連続生成した間の実測ログ(nvidia-smi 1秒間隔)。前半は標準解像度(1024px)、後半は高解像度(1536px)。GPU温度 は約69°Cでほぼ一定となり、その持続負荷の最中も コアクロック(約2,857MHz)と 消費電力(約331W・カード単体)はほぼ水平 = サーマルスロットリングなし。中央の落ち込みは生成2パターンの切替時の小休止。
状態GPU温度 中央/ピークコアクロック消費電力 中央/ピークファンVRAM
待機(アイドル)45°C202 MHz33W0%0.7GB
ゲーム相当(3DMark グラフィックス負荷)67 / 73°C約2,797 MHz360 / 364W44 / 50%6.2GB
最大負荷(AI連続生成 ComfyUI)69 / 73°C2,857 MHz331 / 355W48 / 51%13.2GB

注目したいのは、最大負荷でも GPU 温度が 73°C 止まり・ファンが 48〜51% にとどまる点です。コアクロックは約 2,857MHz を維持し、消費電力は 331〜355W(3DMark 区間では瞬間 364W)で頭打ち。つまり熱ではなく電力上限で頭打ち=サーマルスロットリングは見られません。11.46L・850W 内蔵という筐体の余裕が、動作温度の低さに表れています。 なお本レビューのファン回転率は GPU カード側のファン(nvidia-smi 読み)で、カードのクーラー設計とファンカーブに依存します。筐体ファンやCPUクーラーのファンは計測しておらず、筐体の寄与だけを切り分けた計測ではありません。

同じ設計思想の 8.48L 機との比較 同じ ZOTAC の MAGNUS ONE(EU275070C / 8.48L・500W 内蔵 / RTX 5070)を同じ手順で計測した際の最大負荷は 81 / 84°C・ファン 91%・250W でした。 本機は 約1.3倍の電力(331W)を投入しながら 12°C 低く、ファン回転はおよそ半分です。 GPU が別(RTX 5070 と RTX 5080)=搭載するグラフィックスカードもクーラーも別なので単純な筐体比較ではありませんが、上位GPUを積んでなお温度とファン回転の余裕が増えている点は、奥行きを 95mm 伸ばして電源容量を 500W→850W に引き上げた ULTRA 筐体の設計意図と整合する結果です。
計測方法 / 出典 上表は計測セッションの nvidia-smi ログ(1秒間隔)から、待機=テスト開始前のアイドル、ゲーム相当=3DMark(Time Spy Extreme / Speed Way / Steel Nomad)の高負荷区間、最大負荷=ComfyUI(SDXL/Hires)連続生成区間を抽出し、中央値・最大値で集計したものです(ベンチスコアの正本 benchmarks.json とは別系統の生センサー値)。実際の市販ゲームの動作計測ではありません。 騒音(dB)の計測は行っていません。「ファン」欄は nvidia-smi が報告する GPU カードのファン回転率で、音圧レベルとは別の指標です。

CPUレンダ中のCPU温度 — Blender CPU(全コア持続負荷)

GPU に続き、CPU 側も全コアを持続的に使う Blender CPU レンダの区間で温度・電力・クロックを実測しました。レンダ中はコア負荷が 100% を維持し、パッケージ温度は中央値 71°C、ピークでも 85°C にとどまります(Tjmax 105°C に余裕)。消費電力は、持続枠(PL1・約 65W)に対し各シーン開始のターボで瞬間最大 128W まで跳ねる鋸歯状で、負荷中の平均は 75W です。全コアレンダ時のクロックは約 3.5GHz。クロックの上下は発熱ではなく持続電力の枠による頭打ちで、サーマルスロットリングは見られませんでした。ログ上、谷でクロックが 5GHz 台を示すのはシーン切替のアイドル時に単コアがブーストしたもので、全コア動作ではありません。温度は本個体の実測値で、機体差・室温・グリス状態で変動します(機種間の温度比較は行いません)。

40 60 80 5050 100100 1回目 2回目 3回目 CPUパッケージ温度 (°C) CPU消費電力 (W) / CPUコア負荷 (%) 0 2 4 6
Blender CPU(全コアレンダ)を 3回連続実行した間の実測ログ(CPU 温度ログ・1秒間隔)。レンダ中 コア負荷 は 100% を維持し、消費電力負荷中の平均 75W に対し各シーン開始で 瞬間最大 128W へ跳ねる鋸歯状(Intel Turbo)=平均とピークの開きが大きい瞬発型(谷はシーン・計測回の切替時の小休止)。CPUパッケージ温度 は中央 71°C 前後・ピーク 85°C で頭打ち(Tjmax 105°C まで余裕)、クロック(全コアレンダ時 約 3.5GHz)の上下は発熱ではなく 電力の上限による頭打ち = サーマルスロットリングなし。
負荷CPUパッケージ温度 中央/ピーク全コアレンダ時クロックCPU消費電力 負荷中の平均 / 最大コア負荷
Blender CPU(全コア持続)71 / 85°C約3,472 MHz75 / 128W100%
計測方法 / 出典 上表は Blender CPU(3回計測)の実行区間を、CPU 温度ログ(cpu-temp_log・約1秒間隔/CPUパッケージ温度・最大コアクロック・CPU Package Power)から抽出し、コア負荷90%以上の行で中央値・最大値を集計した本個体の生センサー値です。CPU レンダのスコア(合算 394)とは別系統のログで、機種間比較ではなく本機の発熱挙動の確認を目的とします。
09 / プラットフォーム

プラットフォームと拡張性 — 850W 内蔵と 4画面出力

MAGNUS ONE ULTRA の設計上の強みは、小型でありながら デスクトップ部品をそのまま使い、そのうえで上位GPUを収める電源と物理枠を確保している点にあります。 GPU は PCIe 5.0 x16 のフルレーン接続、CPU は Socket 1851 のソケット実装。GPU 側は最大 360W・2.5 スロット・全長 303.5mm まで対応し、電源は 850W を内蔵します(外部ACアダプター不要)。 導入後に手を入れられるのは メモリ(2スロット・最大96GB)とストレージ(M.2 NVMe ×2 + 2.5インチ SATA III ×1)で、容量の増設・交換は導入側で行えます。 一方 CPU・GPU のユーザー交換は公式にはサポート・保証の対象外のため、性能面の構成は導入時に決める前提で選定してください。

I/O は据置ワークステーション並みです。前面は UHS-II 3-in-1 カードリーダーと USB 3.2 Gen1(5Gbps・Type-A / Type-C)・オーディオ、背面は Thunderbolt 4・USB 3.2 Gen2(10Gbps)×4・USB 3.2 Gen1(5Gbps)×2、映像は DisplayPort 2.1b(UHBR20)×3 + HDMI 2.1b(GPU 側4系統)で、iGPU 側の出力を併用して最大4画面クローン / 6画面拡張、ネットワークは 5GbE + Gigabit の Dual LAN と Wi-Fi 7(802.11be)/ Bluetooth 5.4。ストレージは M.2 NVMe(PCIe 5.0 ×1 + PCIe 4.0 ×1)に加えて 2.5インチ SATA III ベイも備え、盗難防止用の Kensington ロックスロットもあります。

画面構成を検討する際に押さえておきたいのが、映像出力の系統が2つに分かれている点です。DisplayPort 2.1b ×3 と HDMI 2.1b は GPU(RTX 5080)側の出力で、これとは別に マザーボード側の HDMI 2.0 と、Thunderbolt 4 経由の DisplayPort は CPU 内蔵グラフィックス(iGPU)を使います。6画面拡張という上限はこの両系統を合わせた数で、Thunderbolt 4 の映像出力に GPU の描画性能は乗りません。Thunderbolt 4 自体は 40Gbps のデータ転送と最大 15W の給電に対応します(映像出力には対応ケーブルが別途必要)。

EU275080C 前面(真正面): 電源ボタン・UHS-II 3-in-1 カードリーダー・USB 3.2 Type-A / Type-C・オーディオジャック
EU275080C 背面I/O: 5GbE+1GbE・USB 3.2 Gen2/3.0・HDMI・Thunderbolt 4・DisplayPort 2.1b×3+HDMI・内蔵PSUの電源インレット
左: 前面(電源ボタン・UHS-II カードリーダー・USB 3.2 Type-A/Type-C・オーディオ)。右: 背面 I/O(5GbE+1GbE / USB / Thunderbolt 4 / GPU 側の DisplayPort 2.1b×3+HDMI / 850W 内蔵PSUの電源インレット)。
EU275080C 背面3/4 — 側面ハニカムメッシュ吸気面と背面I/O・拡張スロット・内蔵電源
背面3/4 — 側面全体がハニカムメッシュの吸気面。奥行き 365.5mm のうち後半分をGPUと内蔵電源が占める。(ZOTAC 製品写真)
MAGNUS ONE ULTRA の主な特徴 ① デスクトップ部品構成 — GPU は PCIe 5.0 x16(最大360W / 2.5スロット / 303.5mm)、CPU は Socket 1851 LGA。
② 850W 電源を内蔵 — 外部ACアダプター不要で取り回しが良く、上位GPUにも電力の余裕がある。
③ Thunderbolt 4 + Dual LAN(5GbE+1GbE)+ Wi-Fi 7④ GPU 側4画面出力(DP 2.1b×3+HDMI 2.1b)を 11.46L に収める。
EU275080C 同梱物: Wi-Fiアンテナ×2・USBフラッシュドライブ・電源コード・クイックスタートガイド
同梱物 — Wi-Fiアンテナ×2 / ドライバーUSB / 電源コード / クイックスタートガイド(※同梱は地域・モデルにより異なる)。
10 / 用途

想定される用途

ここまでの実測を踏まえ、本機に適した代表的な用途を、計測結果と結びつけて整理します(中立・実測の範囲での想定です)。

オンプレのローカル画像生成AI(SDXL)

ComfyUI SDXL 6.04 秒/枚(9.94 枚/分)は比較群で最速で、RTX 5060 Ti の半分の生成時間です。VRAM 16GB は Hires.Fix(1024→1536)の連続生成でもピーク 13.2GB と余裕があり、 12GB 機では容量が上限に近づく高解像度生成でも余力を残していました。ネットワークに依存しないオンプレのローカル画像生成環境を、この設置面積で構築できる点が本機の中心的な価値です。 ただし本レビューで計測したローカルAI用途は画像生成(SDXL)のみで、バッチサイズを増やす場合やより大きなモデルを扱う場合の上限、および LLM 推論などは検証範囲に含みません。

GPUレンダリング・可視化の据置端末

Blender OptiX 9,329 / Cinebench GPU 109,086 と比較群トップで、3D系の cv は 0.08〜0.27%。約14分の連続生成では GPU 73°C・ファン 51% までしか上がらず、温度もクロックも横ばいで推移しました。 レンダーノードのように回し続ける用途を検討する際の目安になります(数時間規模の連続稼働は本レビューでは未検証です)。

4K・マルチディスプレイの制作/サイネージ

GPU 側の DisplayPort 2.1b(UHBR20)×3 + HDMI 2.1b に iGPU 側の出力を併用して最大4画面クローン / 6画面拡張に対応し、Procyon Essentials 4,994 とオフィス系も比較群トップ。 11.46L の筐体に 850W 電源まで内蔵しているため、設置スペースが限られる制作現場や常時稼働のマルチディスプレイ用途にも組み込みやすい構成です。

11 / まとめ

まとめ — どんな現場に向くか

ZBOX MAGNUS ONE ULTRA EU275080C は、設置スペースを抑えつつ RTX 5080 クラスのGPUを長時間回したい現場に向く一台です。 3DMark・GPUレンダリング・画像生成AI のすべてで比較した MAGNUS 系のトップに立ち、上位機の RTX 5070 Ti に対しても 15〜30% の差をつけました。 さらに 最大負荷でも 73°C・ファン 51% という冷却の余裕があり、11.46L・850W 内蔵の筐体設計が実測にはっきり表れています。

一方で、CPU は 5070 Ti・5070 搭載機と同じ Core Ultra 7 265 であり、CPU 性能を主目的に本機を選ぶ理由はありません。 写真編集(Procyon Photo)も GPU 非依存の指標のため比較群3位で、GPU を上位に替えても伸びない領域があることは選定時の判断材料になります。 GPU 性能と VRAM 容量、そして連続負荷での温度とファン回転の余裕を重視するなら、本機は MAGNUS シリーズ内の上位構成として選びやすい一台です。

適所マップ

向く

  • オンプレのローカル画像生成AI(SDXL)— 速度と16GB VRAMの両立
  • 連続GPU負荷(レンダーノード・可視化端末)
  • 4K・マルチディスプレイの制作/サイネージ
  • メモリ・ストレージを導入側で選定・増設したい設置

他候補が向く

  • CPU 性能・写真編集が主目的 → 同じCPUでより小型の MAGNUS ONE(EU275070C / 8.48L)
  • 設置容積を最優先 → 2.65L の MAGNUS EN(EN275060TC)
  • GPU 性能を抑えて容積も小さくしたい → RTX 5070 Ti(EU27507TC / 8.48L)
12 / データ

付録: 全ベンチマーク結果

本記事チャートの元数値を一覧にまとめます(すべて 中央値。計測条件は §02、各機の識別も §02 の比較表を参照)。比較はすべて ZBOX MAGNUS 系。

テスト RTX 5080(本機)EU275080CCore Ultra 7 265 RTX 5070 TiEU27507TCCore Ultra 7 265 RTX 5070(Intel)EU275070CCore Ultra 7 265 RTX 5070(AMD)ER98N5070CRyzen 9 9850HX RTX 5060 TiEN275060TCCore Ultra 7 255HX RTX 4070 DesktopERP74070CCore i7-13700 RTX 4070 LaptopEN374070CCore i7-13700HX
Time Spy Extremescore・高いほど良い14,85912,50110,56210,3657,6747,8335,527
3DMark Speed Wayscore・高いほど良い8,9897,4745,8275,7694,1194,4982,951
3DMark Steel Nomadscore・高いほど良い8,5886,6345,2835,2513,6203,9992,662
Cinebench 2026 GPUpts・高いほど良い109,08694,54374,74673,74461,31268,59845,669
Blender Benchmark (OptiX)score・高いほど良い9,3297,6666,0105,8994,3275,3203,608
Cinebench 2026 CPUpts・高いほど良い5,9805,8255,7605,2865,6184,0243,645
Blender Benchmark (CPU)score・高いほど良い394384381未計測372252未計測
ComfyUI SDXL (1024)秒/枚・短いほど良い6.047.079.059.0912.0810.0815.15
ComfyUI SDXL Hires秒/枚・短いほど良い18.1021.9728.2928.7638.5231.3247.89
Procyon Photo Editingscore・高いほど良い9,0888,9229,1959,8828,6788,7716,404
Procyon Office (Essentials)score・高いほど良い4,9944,9074,8844,7664,4304,6853,728
7-Zip 26.00MIPS・高いほど良い147,392未計測未計測未計測未計測未計測未計測

凡例: 値は3回計測(ComfyUI は1回、他機の Procyon Photo は1回)の中央値。「未計測」=その機材でまだ計測していない項目。ComfyUI のみ「秒/枚(短いほど良い)」。

13 / FAQ

よくある質問

RTX 5080 版(EU275080C)の3Dグラフィックス性能(3DMark)はどのくらい?
3DMark Time Spy Extreme 14,859 / Speed Way 8,989 / Steel Nomad 8,588(3回計測の中央値)。比較した ZBOX MAGNUS 系7機のなかで最上位で、RTX 5070 Ti を 18.9〜29.5%、RTX 5070 を 40.7〜62.6%、RTX 5060 Ti を 93.6〜137% 上回りました。3D系の複数回計測でのばらつきは cv 0.08〜0.27% と非常に安定しています。なお本レビューでは市販ゲームタイトルのフレームレートは計測していないため、これらはゲーム内の実効フレームレートを示す数値ではありません。
RTX 5070 Ti 搭載モデル(EU27507TC)とどのくらい差がある?
GPU 系の指標はすべて本機が上で、3DMark で 18.9〜29.5%、Cinebench 2026 GPU で 15.4%(109,086 対 94,543)、Blender OptiX で 21.7%(9,329 対 7,666)、ComfyUI SDXL で生成時間が 14.6% 短縮(6.04 対 7.07 秒/枚)。一方 CPU は両機とも同じ Core Ultra 7 265 のため Cinebench CPU の差は 2.7%(5,980 対 5,825)にとどまります。筐体も 8.48L・500W 内蔵の MAGNUS ONE に対し、本機は 11.46L・850W 内蔵と別設計です。
ローカルの画像生成AI(Stable Diffusion)に使える?16GB VRAM の位置づけは?
ComfyUI で実測すると、1024×1024 / 30ステップで 6.04 秒/枚(9.94 枚/分)、Hires.Fix(1024→1536)で 18.10 秒/枚。RTX 5060 Ti(12.08 秒/枚)のちょうど半分の生成時間です。VRAM は 16GB(256-bit GDDR7)で、Hires.Fix 連続生成時の実測ピークは 13.2GB。同じ MAGNUS 系の RTX 5070(12GB)が同条件で 11.5GB とほぼ上限だったのに対し、本機は容量に余裕を残しています。
小型筐体で RTX 5080 を積んで発熱は大丈夫?
最大負荷(ComfyUI 連続生成)中の GPU 温度は中央値 69°C・ピーク 73°C、ファン 48〜51%、消費電力 331〜355W。同じ ZOTAC 設計でも 8.48L の MAGNUS ONE(RTX 5070)が 81/84°C・ファン 91%・250W だったのに対し、本機は約1.3倍の電力を投入しながら 12°C 低く、ファン回転はおよそ半分です。コアクロックは高負荷中も約 2,857MHz を維持し、サーマルスロットリングは見られませんでした。なおファン回転率は nvidia-smi が報告する GPU カード側のファンの値で、騒音(dB)は計測していません。両機は搭載カードもクーラーも異なるため、筐体の寄与だけを切り分けた計測ではありません。
CPU 性能を目的に RTX 5080 版を選ぶ意味はある?
ありません。本機の CPU は RTX 5070 Ti 版・RTX 5070 版と同じ Core Ultra 7 265(20C/20T)で、本レビューの計測条件では Cinebench 2026 CPU の差は 2.7〜3.8%(5,980 / 5,825 / 5,760)にとどまりました。Blender CPU も 394 / 384 / 381 とほぼ横並び。この差は機体・BIOS・計測条件の違いによるものと考えられ、個体差の切り分けは本レビューの範囲外です。CPU 性能が主目的なら、同じCPUでより小型の構成を検討するほうが合理的です。本機を選ぶ理由は GPU 性能・VRAM 容量・連続負荷での冷却の余裕にあります。