ZBOX MAGNUS ONE EU27507TC16GB GDDR7 の RTX 5070 Ti × 20コア Core Ultra 7、8.48L の最上位構成
GeForce RTX 5070 Ti 16GB と、デスクトップ版 Core Ultra 7 265(20コア)を小型筐体に収めたミニPC「ZBOX MAGNUS ONE EU27507TC」。 3DMarkによるグラフィックス性能、GPUレンダリング、AI画像生成、CPU性能、写真編集まで、社内計測のベンチマークから 同じ MAGNUS ONE の RTX 5070 版(GPUが1グレード下の姉妹機)との差、16GB VRAM のローカルAI用途、そして 複数回計測でのばらつき(安定性)を、用途選定の参考となるよう中立に読み解きます。
実測サマリー(3行)
- 3DMark(グラフィックス性能)・GPUレンダリングとも 比較した MAGNUS 系のなかで最上位。RTX 5070(Intel版)を約18〜28%、RTX 5060 Ti を約63〜83%上回る(Time Spy Extreme 12,501 / Speed Way 7,474 / Steel Nomad 6,634、Blender 7,666)。複数回計測でのばらつきは 3DMark・GPUレンダリングとも cv 1%未満。
- AI=ComfyUI SDXL 7.07 秒/枚(RTX 5070 より約22%・RTX 5060 Ti より約41%高速)。VRAM は 16GB で、AI連続生成中の実測使用量は約13.8GB。生成速度と VRAM 容量を両立する。
- CPU は RTX 5070 版と同じ Core Ultra 7 265(Cinebench CPU 5,825 pts・cv 0.90%)。テスト構成は メモリ32GB・電源プラン=高パフォーマンス、GPUは3D高負荷で最大約300Wでもクロックを維持しサーマルスロットリングなし。
MAGNUS ONE の最上位 — 小型筐体に「デスクトップ RTX 5070 Ti + 20コアCPU」
ZBOX MAGNUS ONE EU27507TC は、ZOTAC のミニPC「ZBOX MAGNUS ONE」シリーズのうち、GeForce RTX 5070 Ti 16GB(Blackwell 世代 / DLSS 4)と Intel Core Ultra 7 265(20コア)を組み合わせた、シリーズ最上位クラスのモデルです。 MAGNUS ONE は、デスクトップ級のGPUを小型筐体に収めたシリーズです。本機(EU27507TC)は PCIe 5.0 x16 のデスクトップGPUカード(RTX 5070 Ti)に ソケット式のデスクトップCPU(Core Ultra 7 265 / Socket 1851 LGA)を組み合わせた、Intel デスクトップ構成です。 同じ MAGNUS ONE でも、RTX 5070 版(EU275070C)とは GPU と電源が異なり(本機は上位の RTX 5070 Ti 16GB / 256-bit + 650W 電源、5070 版は RTX 5070 12GB / 192-bit + 500W 電源)、CPU・筐体・拡張性は共通です。
本機はベアボーン構成で、メモリ・ストレージは導入側で選定できます(本レビューのテスト機は 32GB DDR5-5600 + 1TB NVMe SSD)。 CPU・GPU ともデスクトップ部品のため、世代をまたいだ保守・更新や、用途に合わせた構成の組み替えがしやすいのが本機の構成上の利点です。 筐体は 8.48L(270.5 × 126 × 249 mm)で、上位GPUの消費電力に合わせた 650W 電源を内蔵(外部ACアダプター不要)。デスクトップ版 GeForce RTX 5070 Ti を搭載するミニPCとしては世界最小クラスの高性能機です。8.48L というこのサイズ帯で、デスクトップ用GPUカードを搭載できるミニPCの最上位クラスにあたります。
本機の GPU 選定には、MAGNUS ONE ならではの設計上の特長があります。ZOTAC の GeForce RTX 5070 Ti 搭載グラフィックスカードは、リテール(単品販売)向けでは3連ファンのモデルのみです。一方で本機は、MAGNUS ONE 筐体のエアフロー(ハニカムメッシュ天板・側面吸気・内部ダクト)を前提に、より小型の2連ファンの GeForce RTX 5070 Ti を採用しています。筐体側の吸排気が設計段階で確定しているため、カード単体で放熱を完結させる必要がなく、8.48L という小型サイズと上位GPUの冷却を両立できています。この設計が効いていることは、高負荷でもクロックが落ちない後述の実測(§08)に表れています。
GPUGeForce RTX 5070 Ti とは
NVIDIA の最新世代「Blackwell」(RTX 50 シリーズ)のデスクトップ向け上位GPU。本機の搭載モデルは VRAM 16GB(GDDR7 / 256-bit)で、下位の RTX 5070(12GB / 192-bit)より演算資源・メモリ帯域・容量のいずれも上回ります。より高速な GDDR7 メモリ、フレーム生成を強化した DLSS 4、新世代のレイトレ/AI(Tensor)ユニットを備えます。
ポイントゲームに加えてローカルでのAI画像生成・推論の需要が広がり、描画性能と VRAM容量(扱えるモデル規模・解像度)の両方が重視されます。RTX 5070 Ti は、その両方に余裕を持たせた上位帯のGPUです。
CPUCore Ultra 7 265 とは
Intel の最新世代「Core Ultra(シリーズ2 / Arrow Lake)」のデスクトップ向けCPU。高性能Pコア8+高効率Eコア12 の 20コア / 20スレッド、最大約5.3GHz、ソケット式 LGA1851。前世代までの Hyper-Threading を採用せず、物理コア重視へ切り替わった世代です。
ポイント機能ブロックを分けた「タイル(チップレット)」構成と、AI処理用ユニット(NPU)を備える「AI PC」世代。電力効率を重視しつつ、デスクトップ向けはソケット式で単体換装・保守がしやすいのが特徴です。
実機のハードウェア確認(GPU-Z / CPU-Z)
テスト機の構成を GPU-Z・CPU-Z のメイン画面で確認します。GPU は ZOTAC GAMING GeForce RTX 5070 Ti(16GB GDDR7 / 256-bit / GB203 / Blackwell / 8,960 CUDA コア)、CPU は Core Ultra 7 265(20スレッド / Arrow Lake / Socket 1851 LGA)。 GPU-Z 読みで PCIe 5.0 x16・16,384MB GDDR7・帯域 896GB/s、CPU-Z 読みで 8P+12E(20スレッド)・最大 5.3GHz と、いずれもカタログ仕様どおりの個体です。


テスト環境・比較機材・計測方法
テスト構成(実機計測)
| 製品 / SKU | ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE EU27507TC(MAGNUS ONE / Windows) |
|---|---|
| GPU | ZOTAC GAMING GeForce RTX 5070 Ti 16GB(GDDR7・256bit / Blackwell / GB203 / 8,960 CUDA) |
| GPUドライバー | NVIDIA GeForce 610.47(WHQL)/ 帯域 896GB/s・PCIe x16 5.0 は GPU-Z(§01)参照 |
| CPU | Intel Core Ultra 7 265(20C / 20T・Arrow Lake / Socket 1851 LGA) |
| メモリ(テスト構成) | 32GB DDR5-5600(16GB×2) |
| ストレージ | 1TB NVMe SSD ほか |
| OS | Windows 11 Home 25H2(Build 26200) |
| 電源プラン | 高パフォーマンス |
| 計測日 | 2026-07-02 |
製品仕様(カタログ / EU27507TC)
| グラフィックス | ZOTAC GAMING GeForce RTX 5070 Ti 16GB GDDR7 / 256-bit / Blackwell / DLSS 4(PCIe 5.0 x16) |
|---|---|
| プロセッサー | Intel Core Ultra 7 265(デスクトップ) 20コア / 20スレッド / 2.4–5.3GHz / Arrow Lake / Socket 1851 LGA |
| メモリー | 2 × DDR5-6400 CSODIMM / 5600 SO-DIMM(最大96GB) |
| ストレージ | 1 × M.2 NVMe PCIe 5.0 ×4 + 1 × M.2 NVMe PCIe 4.0 ×4 + 1 × 2.5インチ SATA III |
| 映像出力 | 3 × DisplayPort 2.1b(UHBR20)+ 1 × HDMI(最大4画面クローン / 6画面拡張) |
| ネットワーク | 5GbE + Gigabit Ethernet(Dual LAN)/ Wi-Fi 7(802.11be)/ Bluetooth 5.4 |
| 前面 I/O | UHS-II 3-in-1 カードリーダー / 2 × USB 3.0(1 × Type-C) |
| 背面 I/O | 1 × Thunderbolt 4 / 4 × USB 3.2 Gen2 + 2 × USB 3.0 / デュアル Wi-Fi アンテナ |
| 電源 | 650W PSU 内蔵 |
| 外形・容積 | 270.5 × 126 × 249 mm(8.48L)/ ツールレスアクセス |
| 対応OS | Windows 11 |
製品カタログで全仕様を見る(ZBOX MAGNUS ONE EU27507TC)→ZOTAC 直販ストア →
比較機材(すべて ZBOX MAGNUS 系)
公平性のため、比較は同じ ZBOX MAGNUS 系の実機に限定しています。今回は同じ RTX 5070 が Intel版と AMD版の2台、RTX 4070 も Desktop(ERP74070C)と Laptop(EN374070C)の2台あるため、表記は GPU+CPUで区別します。各機は出荷時の代表構成で計測しました。
| 本記事の表記 | モデル | SKU | CPU |
|---|---|---|---|
| RTX 5070 Ti(本機) | MAGNUS ONE | EU27507TC | Core Ultra 7 265 |
| RTX 5070(Intel) | MAGNUS ONE | EU275070C | Core Ultra 7 265 |
| RTX 5070(AMD) | MAGNUS ONE | ER98N5070C | Ryzen 9 9850HX |
| RTX 5060 Ti | MAGNUS EN | EN275060TC | Core Ultra 7 255HX |
| RTX 4070 Desktop | MAGNUS ONE(前世代) | ERP74070C | Core i7-13700 |
| RTX 4070 Laptop | MAGNUS EN(前世代) | EN374070C | Core i7-13700HX |
MAGNUS ラインナップでの位置づけ
3DMark(グラフィックス性能)— 比較群で最上位、RTX 5070 を約2〜3割上回る
DX12 Ultimate/レイトレを含む 3DMark の3テストでは、本機 RTX 5070 Ti が 比較した MAGNUS 系のなかで最上位となりました。同じ MAGNUS ONE の RTX 5070(Intel版)に対して Time Spy Extreme +18%・Speed Way +28%・Steel Nomad +26%、RTX 5060 Ti に対しては 約63〜83%上回り、GPUクラスの差が明確に表れています。 RTX 5070 の Intel版・AMD版はほぼ同水準で並び、本機はその一段上に位置します。 複数回計測での変動はいずれも cv 1%未満と安定しています。
GPUレンダリング — Cinebench GPU・Blender とも比較群でトップ
GPU レンダリングでも比較群で最高値を記録しました。Cinebench 2026 GPU は 94,543 pts で RTX 5070(74,746)を約26%、RTX 5060 Ti(61,312)を約54%上回りました。 Blender Benchmark(OptiX)は 7,666 と、こちらも比較した ZBOX MAGNUS 系のなかで最高で、RTX 5070(6,010)を約28%、RTX 5060 Ti(4,327)を約77%上回ります。 いずれも RTX 5070 の Intel版・AMD版を明確に引き離しており、GPUレンダリング主体の用途では比較した MAGNUS 系のなかで最速です。
なぜ本機は「デスクトップ部品」構成なのか
本機の要点は、ノート向けではなく デスクトップ版の RTX 5070 Ti と Core Ultra 7 265 をそのまま使う点です。 GPU は PCIe 5.0 x16 のフルレーン、CPU は Socket 1851 のソケット実装で、いずれも電力上限・拡張性・保守性の面でデスクトップの利点を引き継ぎます。 同一プラットフォームの RTX 5070(Intel版)を 3DMark(グラフィックス性能)・GPUレンダリングで上回る差は、純粋な GPU クラスの差です。一方、モバイルCPU構成の RTX 5060 Ti や RTX 4070 Laptop に対しては、GPUクラスの差に加えてこのプラットフォーム差も効いています。
ローカル画像生成AI(Stable Diffusion)— 速度と16GB VRAMを両立
画像生成AI「Stable Diffusion(SDXL)」を ComfyUI で実測すると、本機 RTX 5070 Ti は 1024×1024 / 30ステップで 7.07 秒/枚(8.49 枚/分)、 Hires.Fix(1024→1536)で 21.97 秒/枚を記録。RTX 5070(9.05 / 28.29 秒/枚)より約22%、RTX 5060 Ti(12.08 / 38.52 秒/枚)より約41%高速で、比較群で最速でした。
本機の強みは、その速度に 16GB の VRAM 容量(256-bit GDDR7)が伴う点です。RTX 5070(12GB)に対して生成速度で上回りつつ、VRAM 容量も 12GB → 16GB へ拡大。RTX 5070 版レビューで指摘した「速度重視なら 5070/容量重視なら 16GB の 5060 Ti」というトレードオフを、本機は速度と容量の両取りで解消します。後述の実測ログ(§08)では、AI 連続生成中の VRAM 実測使用量が約 13.8GB に達しており、12GB では窮屈になる高解像度・大バッチでも 16GB の余裕が効きます。
CPU性能と安定性 — RTX 5070 版と同じ Core Ultra 7 265
本機の CPU は RTX 5070 版(EU275070C)と同じ Core Ultra 7 265(20C/20T・デスクトップ Arrow Lake)で、Cinebench 2026 CPU は 5,825 pts。 前世代EN機(EN374070C)の Core i7-13700HX(3,645)を約60%上回り、RTX 5060 Ti の Core Ultra 7 255HX(5,618)も上回って比較群でトップでした。 複数回計測でのばらつきは cv 0.90%と安定しており、20コアCPUを載せた小型機として計測の再現性も良好です。
GPU が異なるだけの姉妹機である RTX 5070 版とは、CPU スコアはほぼ同じ(5,825 対 5,760)で、いずれも誤差の範囲です。 つまり本機の付加価値は CPU ではなく GPU(3D・レンダ・AI)と 16GB VRAM にあります。CPU 主体のマルチスレッド処理を最重視する場合は、同じ CPU の RTX 5070 版でも同等で、GPU 負荷が軽い用途なら下位構成も選択肢になります。
※ Cinebench CPU の複数回計測でのばらつき(cv:変動係数 = 標準偏差÷平均×100%): 本機 Core Ultra 7 265 = 0.90% / RTX 5070 版 Core Ultra 7 265 = 0.17% / Core Ultra 7 255HX = 2.58% / Ryzen 9 9850HX = 8.09%。各スコアは3回計測の中央値です。
全コアを持続的に使う CPU レンダリングも Blender Benchmark の CPU モードで実測しました。本機 Core Ultra 7 265 は 合算 384(3回計測の中央値・cv 0.6%)で、比較した中で最も高いスコア。同じ 265 を積む RTX 5070 版(381)とはほぼ並び、Core Ultra 7 255HX(372)も数%以内、前世代の Core i7-13700(252)には約52%の差をつけました。CPU レンダでも Cinebench と同じ最上位の位置づけです。
※ Blender CPU の複数回計測でのばらつき(cv): 本機 Core Ultra 7 265 = 0.6% / Core Ultra 7 265(5070)= 0.3% / Core Ultra 7 255HX = 0.6% / Core i7-13700 = 4.1%。各スコアは3回計測の中央値です。AMD版 5070(Ryzen 9 9850HX)・4070 Laptop(i7-13700HX)は Blender CPU を追加計測中で、整い次第この比較に追記します。
写真編集・オフィス(Procyon)
UL Procyon の写真編集(Photoshop+Lightroom Classic)で 8,922、 オフィス(Essentials)で 4,907(比較した中でトップ)。Essentials は RTX 5070 版(4,884)や 5060 Ti(4,430)を上回りました。 一方 Photo は AMD版 5070(9,882)・Intel版 5070(9,195)が本機をやや上回ります。Photo は GPU 単体ではなく CPU/メモリ/iGPU を含む複合ワークロードで、GPUクラスがそのまま順位に出にくい指標です。
複数回計測でのばらつき(再現性・安定性)と発熱
本プロジェクトが重視する 安定性指標。複数回計測を実施したテストの変動係数(cv:標準偏差÷平均×100%)を一覧します。 本機は 3DMark(グラフィックス性能)・GPUレンダリング・CPU・オフィスのいずれも cv 1%前後に収まり、上位GPUを積んだ小型筐体ながら計測の再現性が高く、B2B 運用での予測可能性に優れます。
| テスト | 中央値 | min–max | cv% | 計測回 |
|---|---|---|---|---|
| Time Spy Extreme | 12,501 | 12,428–12,511 | 0.30 | 3 |
| Speed Way | 7,474 | 7,459–7,477 | 0.11 | 3 |
| Steel Nomad | 6,634 | 6,565–6,650 | 0.56 | 3 |
| Cinebench GPU | 94,543 | 94,499–95,042 | 0.26 | 3 |
| Blender (OptiX) | 7,666 | 7,653–7,675 | 0.12 | 3 |
| Cinebench CPU | 5,825 | 5,721–5,838 | 0.90 | 3 |
| Procyon Essentials | 4,907 | 4,903–4,986 | 0.77 | 3 |
※ ComfyUI と Procyon Photo は1回計測のため cv は非算出。その他は3回計測の中央値。
安定性を支える冷却構造
小型筐体ながら複数回計測でのばらつきが小さい背景には、デスクトップ部品を収めるための十分な冷却設計があります。 前述(§01)のとおり、本機は筐体のエアフローを前提に2連ファンの RTX 5070 Ti を採用しており、カード単体ではなく筐体全体で放熱する設計です。 長時間の連続負荷でもクロックを維持しやすく、実測の cv 1%前後(3DMark(グラフィックス性能)・GPUレンダリング・CPU)という再現性の高さに表れています。
負荷段階別の実測 — 待機・ゲーム相当・最大負荷
ベンチマーク実行中の GPU を nvidia-smi で1秒間隔で連続記録し、負荷段階ごとに GPU 温度・コアクロック・消費電力・VRAM を集計しました。小型筐体でも温度とクロックが乱れないかを、実センサー値で確認します。
| 状態 | GPU温度 中央/ピーク | コアクロック | 消費電力 中央/ピーク | ファン | VRAM |
|---|---|---|---|---|---|
| 待機(アイドル) | 約49°C | アイドル | 約21W | 0% | 1.0GB |
| ゲーム相当(3DMark グラフィックス負荷) | 78 / 83°C | 約2,737 MHz | 293 / 302W | 〜82% | 6.4GB |
| 最大負荷(AI連続生成 ComfyUI) | 79 / 83°C | 2,737 MHz | 263 / 283W | 82% | 13.8GB |
注目は高負荷でもコアクロックが約 2,737 MHz を維持している点です。3DMark の高負荷では消費電力が瞬間 302W(定格 TGP 約280W級を一時的に上回るピーク)まで上がり GPU 温度は 83°C に達しますが、クロックはほぼ低下しません。つまり本機は熱ではなく電力上限で頭打ち=サーマルスロットリングは見られません。8.48L の小型筐体でも、消費電力の大きいデスクトップ RTX 5070 Ti を温度で絞らず回せています。最大負荷ではファンが 80% 前後まで上がり動作音は大きめですが、その分クロックを維持しています。AI 連続生成では VRAM が 13.8GB(16GB 中)まで使われ、12GB では窮屈になる領域で 16GB の余裕が効くことが分かります。
CPUレンダ中のCPU温度 — Blender CPU(全コア持続負荷)
CPU 側も全コアを持続的に使う Blender CPU レンダの区間で温度・電力・クロックを実測しました。レンダ中はコア負荷が 100% を維持し、パッケージ温度は中央値 66°C・ピーク 81°C で頭打ちします。消費電力は、持続枠(PL1・約 65W)に対し各シーン開始のターボで瞬間最大 125W まで跳ねる鋸歯状で、ターボを含む実測平均は 75W です(平均とピークの開きが大きい瞬発型で、電源は瞬間 125W 級の余裕を見込むと安全)。全コアレンダ時のクロックは約 3.4GHz です(各シーン開始のターボで一時 4.7GHz。負荷の谷=シーン切替のアイドル区間では単コアブーストで一時的に 5GHz 台に達します)。クロックの上下は発熱ではなく持続電力の枠(PL1・約 65W)による頭打ちで、温度は Tjmax(約 100°C)まで余裕があり、サーマルスロットリングは見られませんでした。温度は本個体の実測値です(機種間の温度比較は行いません)。
| 負荷 | CPUパッケージ温度 中央/ピーク | 全コアレンダ時クロック | CPU消費電力 負荷中の平均 / 最大 | コア負荷 |
|---|---|---|---|---|
| Blender CPU(全コア持続) | 66 / 81°C | 約3,373 MHz | 75 / 125W | 100% |
プラットフォームと拡張性 — デスクトップ部品の強み
MAGNUS ONE の設計上の強みは、小型でありながら デスクトップ部品をそのまま使う点にあります。 本機ではGPUが PCIe 5.0 x16 のフルレーン接続、CPUが Socket 1851 のソケット実装であることを実機ツールで確認しました。 これにより、世代をまたいだ保守・部品更新や、用途に応じた構成変更(メモリ/ストレージ増設など)がしやすく、長期運用や段階的なアップグレードを前提とした導入に向きます。上位GPUの消費電力に合わせ、電源は 650W を内蔵します。
本機の I/O は据置ワークステーション並みに充実しています。前面は UHS-II 3-in-1 カードリーダーと USB 3.0(Type-A / Type-C)、背面は Thunderbolt 4・USB 3.2 Gen2 ×4・USB 3.0 ×2、映像は DisplayPort 2.1b(UHBR20)×3 + HDMI(最大4画面クローン / 6画面拡張)、ネットワークは 5GbE + Gigabit の Dual LAN と Wi-Fi 7。電源は 650W を内蔵し、外部ACアダプターは不要です。


② 650W 電源を内蔵 — 上位GPUに合わせた容量。外部ACアダプター不要で取り回しが良い。
③ Thunderbolt 4 + Dual LAN(5GbE+1GbE)+ Wi-Fi 7 と ④ 4画面出力(DP 2.1b×3+HDMI)を 8.48L に収める。
想定される用途
ここまでの実測を踏まえ、本機に適した代表的な用途を、計測結果と結びつけて整理します(中立・実測の範囲での想定です)。
最上位のローカルGPUワークロード
3DMark(グラフィックス性能)・GPUレンダリングが比較群でトップかつ cv 1%前後と再現性が高く、デスクトップ部品ベースで保守もしやすいため、 可視化・GPUレンダリング・シミュレーション補完など、GPU性能と結果の一貫性を両立したい業務に向きます。Cinebench GPU 94,543 / Blender 7,666 と、ローカルでのGPU処理を比較した MAGNUS 系のなかで最速でこなせます。
ローカルAI推論・画像生成(オンプレ・大きめのモデル)
画像生成AI(Stable Diffusion)が ComfyUI SDXL 7.07 秒/枚と比較群最速で、VRAM も 16GB。ネットワークに依存しないオンプレAIを、このサイズで速度・容量とも余裕を持って構築できます。 RTX 5070(12GB)では窮屈な高解像度・大バッチや、やや大きめのモデルを扱う用途でも、16GB の容量が効きます。
クリエイティブ制作・可視化端末の中核
Procyon Essentials 4,907(比較した中でトップ)、Photo 8,922 と写真編集・オフィス系も高水準。 省スペースでローカルGPUレンダリングや映像・写真編集をこなしつつ、設置スペースの限られた制作現場や可視化端末の中核機として導入しやすい構成です。
まとめ — どんな現場に向くか
ZBOX MAGNUS ONE EU27507TC は、デスクトップ部品ベースの小型機で「RTX 5070 Ti 級のGPU+16GB VRAM+安定した20コアCPU」を再現性高く回したい現場に向く、現行 MAGNUS ONE の最上位クラスの構成です。 3DMark(グラフィックス性能)・GPUレンダリング・AI画像生成のいずれも比較群でトップで、同じ MAGNUS ONE の RTX 5070 を約2〜3割上回りました。CPU は RTX 5070 版と同じ Core Ultra 7 265 で、付加価値は GPU と VRAM 容量にあります。 コストを抑えたい・12GB VRAM で足りる用途なら RTX 5070 版が候補になりますが、 「3D・レンダ・AI 性能と VRAM 容量を最優先」するなら、本機は比較した MAGNUS 系の最上位として選びやすい構成です。
適所マップ
向く
- MAGNUS ラインで最速のGPUを安定運用したい SIer 業務機
- 計測・処理の再現性が要る可視化/GPUレンダリング
- オンプレのローカルAI(速度+16GB VRAM 容量の両立)
- デスクトップ部品で保守・段階更新したい設置
他候補が向く
- コスト重視・12GB VRAM で足りる → RTX 5070 版(EU275070C)
- AMD 標準環境で揃えたい → AMD版 RTX 5070(ER98N5070C)
付録: 全ベンチマーク結果
本記事チャートの元数値を一覧にまとめます(すべて 中央値。計測条件は §02、各機の識別も §02 の比較表を参照)。比較はすべて ZBOX MAGNUS 系。
| テスト | RTX 5070 Ti(本機)EU27507TCCore Ultra 7 265 | RTX 5070(Intel)EU275070CCore Ultra 7 265 | RTX 5070(AMD)ER98N5070CRyzen 9 9850HX | RTX 5060 TiEN275060TCCore Ultra 7 255HX | RTX 4070 DesktopERP74070CCore i7-13700 | RTX 4070 LaptopEN374070CCore i7-13700HX |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Time Spy Extremescore・高いほど良い | 12,501 | 10,562 | 10,365 | 7,674 | 7,833 | 5,527 |
| 3DMark Speed Wayscore・高いほど良い | 7,474 | 5,827 | 5,769 | 4,119 | 4,498 | 2,951 |
| 3DMark Steel Nomadscore・高いほど良い | 6,634 | 5,283 | 5,251 | 3,620 | 3,999 | 2,662 |
| Cinebench 2026 GPUpts・高いほど良い | 94,543 | 74,746 | 73,744 | 61,312 | 68,598 | 45,669 |
| Blender Benchmark (OptiX)score・高いほど良い | 7,666 | 6,010 | 5,899 | 4,327 | 5,320 | 3,608 |
| Cinebench 2026 CPUpts・高いほど良い | 5,825 | 5,760 | 5,286 | 5,618 | 4,024 | 3,645 |
| ComfyUI SDXL (1024)秒/枚・短いほど良い | 7.07 | 9.05 | 9.09 | 12.08 | 10.08 | 15.15 |
| ComfyUI SDXL Hires秒/枚・短いほど良い | 21.97 | 28.29 | 28.76 | 38.52 | 31.32 | 47.89 |
| Procyon Photo Editingscore・高いほど良い | 8,922 | 9,195 | 9,882 | 8,678 | 8,771 | 6,404 |
| Procyon Office (Essentials)score・高いほど良い | 4,907 | 4,884 | 4,766 | 4,430 | 4,685 | 3,728 |
凡例: 値は3回計測(ComfyUI / Procyon Photo は1回)の中央値。ComfyUI のみ「秒/枚(短いほど良い)」。RTX 5070 Ti は本機(EU27507TC)。