Benchmark Review — ZBOX MAGNUS ONE

ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070CRyzen 9 9850HX × RTX 5070、24スレッドのAMD構成

GeForce RTX 5070 12GB と Ryzen 9 9850HX(12コア24スレッド)を小型筐体に収めたミニPC「ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C」。 3DMarkによるグラフィックス性能、GPUレンダリング、AI画像生成、CPU性能、写真編集まで、社内計測のベンチマークから 同じ MAGNUS ONE の Intel版 5070(EU275070C)との違い、RTX 5060 Ti との立ち位置、そして 複数回計測でのばらつき(安定性)を、用途選定の参考となるよう中立に読み解きます。

デスクトップ RTX 5070 12GB 24スレッド Ryzen 9 9850HX 8.48L 超コンパクト 500W 内蔵電源 5GbE / Wi-Fi 7 AMD構成
ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C 公式キービジュアル — A NEW FLAVOR OF SMALL / デスクトップ GeForce RTX 5070 と AMD Ryzen 9 9850HX を収めたミニPC
ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C — デスクトップ版 GeForce RTX 5070 と AMD Ryzen 9 9850HX を収めたミニPC。(ZOTAC 公式キービジュアル)

実測サマリー(3行)

  • 3DMark(グラフィックス性能)およびGPUレンダリングで RTX 5060 Ti を約35〜45%上回り、比較した MAGNUS 系で 5070 Ti・Intel版に次ぐ上位(Speed Way 5,769 / Steel Nomad 5,251 / Time Spy Extreme 10,365)。GPUは Intel版 5070(EU275070C)と同一・互角
  • Ryzen 9 9850HX は 12コア24スレッドProcyon Photo 9,882 は比較した中でトップ(Intel版・5060 Ti を上回る)。CPU/iGPU 混在ワークロードで強み。
  • ただし Cinebench CPU は 5,286 pts・複数回計測でのばらつき cv 8.09%とやや大きめ(計測の再現性を最優先するなら Intel版 265=cv 0.17%)。AI=ComfyUI 9.09 秒/枚、VRAM は 12GB。テスト構成: メモリ32GB・電源プラン=高パフォーマンス。
01 / 概要

小型筐体に「デスクトップGPU+AMD 24スレッドCPU」を収めた MAGNUS ONE

ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C は、ZOTAC のミニPC「ZBOX MAGNUS ONE」シリーズのうち、GeForce RTX 5070 12GB(Blackwell 世代 / DLSS 4)と AMD Ryzen 9 9850HX(12コア24スレッド)を組み合わせた AMD 構成モデルです。 GPU は PCIe 5.0 x16 のデスクトップ RTX 5070 で、同じ MAGNUS ONE の Intel版(EU275070C)と同一です。 両者の違いは、CPU が AMD の Ryzen 9 9850HX(本機・Fire Range)か Intel の Core Ultra 7 265(EU275070C)か、の一点です。

本機はベアボーン構成で、メモリ・ストレージは導入側で選定できます(本レビューのテスト機は 32GB DDR5-5600 + NVMe SSD)。 AMD プラットフォームを標準にしている環境や、Ryzen 指定の案件で RTX 5070 級のGPUを使いたい場合に導入しやすい構成です。 筐体は 8.48L(270.5 × 126 × 249 mm)で、500W 80+ Platinum 電源を内蔵(外部ACアダプター不要)。デスクトップ版 GeForce RTX 5070 を搭載するミニPCとしては世界最小クラスの高性能機で、一般的なミニPC(NUC型など)より一回り大きいものの、単体(デスクトップ)GPUを積めるミニPCの最上位クラスにあたります。

搭載するGPU・CPUの基礎知識

GPUGeForce RTX 5070 とは

NVIDIA の最新世代「Blackwell」(RTX 50 シリーズ)のデスクトップ向けGPU。本機の搭載モデルは VRAM 12GB(GDDR7 / 192-bit)。前世代から、より高速な GDDR7 メモリ、フレーム生成を強化した DLSS 4、新世代のレイトレ/AI(Tensor)ユニットへ更新された世代です。

ポイントゲームに加えてローカルでのAI画像生成・推論の需要が広がり、描画性能だけでなく VRAM容量(扱えるモデル規模・解像度)が重視されるようになっています。RTX 5070 は、ゲーム・GPUレンダ・ローカルAIを1台でこなせるミドルハイ帯のGPUです。

CPURyzen 9 9850HX とは

AMD の最新世代「Zen 5」をベースにしたハイエンド・モバイル向けCPU(コードネーム Fire Range)。12コア / 24スレッド(SMT対応)で、本機ではこれを小型筐体に搭載。RDNA系の統合GPU(iGPU)も内蔵します。

ポイント中身はデスクトップ版 Ryzen 9000(Zen 5)と同系のコア。ソケット式のデスクトップ版に対し、末尾 HX は基板直付けのモバイル向けパッケージで、省電力・小型化に最適化された系統です。これを使うことで、多コア・多スレッドをミニPCに持ち込めます(クリエイティブ処理やAIの前処理など並列ワークロード向き)。

ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C ミニPC本体(前面3/4・ハニカムメッシュ天板)
ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C 本体 — 8.48L 筐体(ハニカムメッシュ天板・側面吸気)。(ZOTAC 製品写真)

実機のハードウェア確認(GPU-Z / CPU-Z)

テスト機の構成を GPU-Z・CPU-Z のメイン画面で確認します。GPU は ZOTAC GAMING GeForce RTX 5070(12GB GDDR7 / 192-bit / GB205 / Blackwell)、CPU は AMD Ryzen 9 9850HX(12コア24スレッド / Fire Range)。 GPU-Z 読みで Boost 2,512MHz・PCIe 5.0 x16・Resizable BAR 有効、CPU-Z 読みで 12コア24スレッド・最大 5.0GHz 超と、いずれもカタログ仕様どおりの個体です(GPUは Intel版 EU275070C と同一スペック)。

GPU-Z メイン画面: GeForce RTX 5070 / GB205 / 12288MB GDDR7 / 192bit / Boost 2512MHz / PCIe 5.0 x16
CPU-Z メイン画面: AMD Ryzen 9 9850HX / Fire Range / Socket FL1 / 12コア24スレッド
左: GPU-Z(GeForce RTX 5070 / 12GB GDDR7 / 192-bit)。右: CPU-Z(Ryzen 9 9850HX / 12コア24スレッド)。詳細は各スクリーンショットを参照。
02 / テスト環境

テスト環境・比較機材・計測方法

テスト構成(実機計測)

製品 / SKUZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C(MAGNUS ONE / Windows)
GPUZOTAC GAMING GeForce RTX 5070 12GB(GDDR7・192bit / Blackwell / GB205)
GPUドライバーNVIDIA GeForce 610.47(WHQL)/ Boost 2,512MHz・PCIe x16 5.0 は GPU-Z(§01)参照
CPUAMD Ryzen 9 9850HX(12C / 24T・Fire Range / 4nm)
メモリ(テスト構成)32GB DDR5-5600(16GB×2)
ストレージNVMe SSD(Netac 1TB ほか)
OSWindows 11 Home 25H2(Build 26200)
電源プラン高パフォーマンス
計測日2026-06-19

製品仕様(カタログ / ER98N5070C)

グラフィックスZOTAC GAMING GeForce RTX 5070
12GB GDDR7 / 192-bit / Blackwell / DLSS 4(PCIe 5.0 x16)
プロセッサーAMD Ryzen 9 9850HX
12コア / 24スレッド / 3.0–5.2GHz / Fire Range / 4nm
メモリー2 × DDR5-5600 SO-DIMM(最大96GB)
ストレージ2 × M.2 NVMe PCIe 5.0 ×4(RAID 0 / 1 対応)
映像出力3 × DisplayPort 2.1b(UHBR20)+ 1 × HDMI(最大4画面クローン / 6画面拡張)
ネットワーク5GbE Ethernet / Wi-Fi 7(802.11be)/ Bluetooth 5.4
前面 I/OUHS-II 3-in-1 カードリーダー / 2 × USB 3.2 Gen2(10Gbps・1 × Type-C)
背面 I/O4 × USB 3.2 Gen2 Type-A / 2 × USB 3.2 Gen1 Type-A(USB-C ALT Mode)/ デュアル Wi-Fi アンテナ
電源500W 80+ Platinum PSU 内蔵
外形・容積270.5 × 126 × 249 mm(8.48L)/ ツールレスアクセス
対応OSWindows 11

製品カタログで全仕様を見る(ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C)→ZOTAC 直販ストア →

比較機材(すべて ZBOX MAGNUS 系)

公平性のため、比較は同じ ZBOX MAGNUS 系の実機に限定しています。最上位の参考として RTX 5070 Ti(EU27507TC) を併載し、同じ RTX 5070 が 本機(AMD)と Intel版の2台、RTX 4070 も Desktop(ERP74070C)と Laptop(EN374070C)の2台あるため、表記は GPU+CPUで区別します。各機は出荷時の代表構成で計測しました。

本記事の表記モデルSKUCPU
RTX 5070 TiMAGNUS ONEEU27507TCCore Ultra 7 265
RTX 5070(本機 / AMD)MAGNUS ONEER98N5070CRyzen 9 9850HX
RTX 5070(Intel)MAGNUS ONEEU275070CCore Ultra 7 265
RTX 5060 TiMAGNUS ENEN275060TCCore Ultra 7 255HX
RTX 4070 DesktopMAGNUS ONE(前世代)ERP74070CCore i7-13700
RTX 4070 LaptopMAGNUS EN(前世代)EN374070CCore i7-13700HX

MAGNUS ラインナップでの位置づけ

MAGNUS ONE(本機 RTX 5070・Intel版)デスクトップ級のGPUを小型筐体に収めたシリーズ。PCIe 5.0 x16 のデスクトップGPUカードを採用する上位構成。本機は RTX 5070+Ryzen 9 9850HX(24スレッド)の AMD 構成。GPUは Intel版 EU275070C と同一。
MAGNUS EN(RTX 5060 Ti・前世代 4070 Laptop)2.65L という非常にコンパクトな筐体に、モバイルCPU×デスクトップGPUを収めた高密度ミニPC。サイズを最優先したシリーズ。
計測方法 数値は社内のベンチマーク自動化環境による実測の中央値(原則複数回、一部1回)。電源プランは 高パフォーマンス で計測しています。 グラフは単位と方向(高いほど良い/短いほど良い)のみ併記。ComfyUI は NVIDIA 環境のみ対象です。
03 / 3DMark

3DMark(グラフィックス性能) — 5060 Ti を約4割引き離し、Intel版と互角

DX12 Ultimate/レイトレを含む 3DMark の3テストでは、本機 RTX 5070 は同じ MAGNUS 系の RTX 5060 Ti を Speed Way +40%・Steel Nomad +45%・Time Spy Extreme +35% と明確に上回りました。 GPU が同一の Intel版 5070(EU275070C)とはほぼ同等(いずれも数%以内)で、GPUが同じであることがそのまま表れています。 比較した MAGNUS 系のなかでは 5070 Ti・Intel版に次ぐ上位に位置し、ミドルハイGPUとして期待どおりの性能です。 複数回計測での変動はいずれも cv 1%未満と安定しています。

補足 3DMarkはDirectX 12 / レイトレーシングを含む標準的なグラフィックス性能テストで、ゲームの描画性能の目安としても広く使われる定番指標です。本レビューでは実際の市販ゲームタイトルでのフレームレート計測は行っていません(クリエイティブ・AI用途中心の検証)。ゲーム用途の性能については別途ゲームタイトルでの確認をおすすめします。
3DMark Time Spy Extreme
score / 高いほど良い
RTX 5070 TiEU27507TC
12,501
RTX 5070(Intel)EU275070C
10,562
RTX 5070(本機)ER98N5070C
10,365
RTX 4070 DesktopERP74070C
7,833
RTX 5060 TiEN275060TC
7,674
RTX 4070 LaptopEN374070C
5,527
3DMark Speed Way
score / 高いほど良い
RTX 5070 TiEU27507TC
7,474
RTX 5070(Intel)EU275070C
5,827
RTX 5070(本機)ER98N5070C
5,769
RTX 4070 DesktopERP74070C
4,498
RTX 5060 TiEN275060TC
4,119
RTX 4070 LaptopEN374070C
2,951
3DMark Steel Nomad
score / 高いほど良い
RTX 5070 TiEU27507TC
6,634
RTX 5070(Intel)EU275070C
5,283
RTX 5070(本機)ER98N5070C
5,251
RTX 4070 DesktopERP74070C
3,999
RTX 5060 TiEN275060TC
3,620
RTX 4070 LaptopEN374070C
2,662
04 / GPUレンダリング

GPUレンダリング — Intel版と並ぶ上位クラス

GPU レンダリングでも上位クラスのスコアを記録しました。Cinebench 2026 GPU は 73,744 pts で RTX 5060 Ti(61,312)を約20%上回り、Intel版 5070(74,746)とはほぼ同水準。 Blender Benchmark(OptiX)は 5,899 と、同じ RTX 5070 では Intel版(6,010)に次ぐ2位でした(5070 Ti の 7,666 を含めると3位)。 いずれも GPU が同一の Intel版とほぼ同水準で、5070 Ti に次ぐ上位に位置します。

Cinebench 2026(GPU)
pts / 高いほど良い
RTX 5070 TiEU27507TC
94,543
RTX 5070(Intel)EU275070C
74,746
RTX 5070(本機)ER98N5070C
73,744
RTX 4070 DesktopERP74070C
68,598
RTX 5060 TiEN275060TC
61,312
RTX 4070 LaptopEN374070C
45,669
Blender Benchmark(GPU / OptiX)
samples/min 合算スコア / 高いほど良い
RTX 5070 TiEU27507TC
7,666
RTX 5070(Intel)EU275070C
6,010
RTX 5070(本機)ER98N5070C
5,899
RTX 4070 DesktopERP74070C
5,320
RTX 5060 TiEN275060TC
4,327
RTX 4070 LaptopEN374070C
3,608
05 / 画像生成AI

ローカル画像生成AI(Stable Diffusion)— Intel版と同水準、VRAMは12GB

画像生成AI「Stable Diffusion(SDXL)」を ComfyUI で実測すると、本機 RTX 5070 は 1024×1024 / 30ステップで 9.09 秒/枚、 Hires.Fix(1024→1536)で 28.76 秒/枚を記録。RTX 5060 Ti(12.08 / 38.52 秒/枚)より約25%高速で、GPU が同一の Intel版 5070(9.05 / 28.29)とはほぼ同じです。

注意したいのは VRAM 容量です。本機の RTX 5070 は 12GB(192-bit GDDR7)で、生成速度では 5060 Ti を上回りますが、容量では 16GB の 5060 Ti を下回ります。 モデルのロードや高解像度・大バッチで VRAM 容量がボトルネックになる用途では、速度の速い本機より 16GB の 5060 Ti が有利になる場面があります。速度重視なら 5070、容量重視なら 16GB の 5060 Ti、という分かりやすいトレードオフです。

ComfyUI SDXL(1024×1024 / 30steps)
秒/枚 / 短いほど良い
RTX 5070 TiEU27507TC
7.07
RTX 5070(Intel)EU275070C
9.05
RTX 5070(本機)ER98N5070C
9.09
RTX 4070 DesktopERP74070C
10.08
RTX 5060 TiEN275060TC
12.08
RTX 4070 LaptopEN374070C
15.15
ComfyUI SDXL + Hires.Fix(1024→1536)
秒/枚 / 短いほど良い
RTX 5070 TiEU27507TC
21.97
RTX 5070(Intel)EU275070C
28.29
RTX 5070(本機)ER98N5070C
28.76
RTX 4070 DesktopERP74070C
31.32
RTX 5060 TiEN275060TC
38.52
RTX 4070 LaptopEN374070C
47.89
VRAM本機の GPU-Z 読みで 12,288MB(12GB)GDDR7・192bit。CPU が異なっても生成速度がほぼ同じことから、この用途では GPU 側が支配的であることがうかがえます。ComfyUI(SDXL)は CUDA(NVIDIA)環境のみが対象です。
06 / CPU性能

CPU性能と安定性 — 12コア24スレッド、ばらつきはやや大きめ

Ryzen 9 9850HX(12コア24スレッド)は Cinebench 2026 CPU で 5,286 pts。 スレッド数は Intel版(Core Ultra 7 265 / 20スレッド)より多く、Cinebench スコアでは前世代EN機の Core i7-13700HX(3,645 pts)を約45%上回ります。 Procyon PhotoなどのCPU/iGPU混在ワークロードで比較した中でトップを取るなど、高スレッド数の強みが出ています。

一方で注意したいのは複数回計測でのばらつきです。本機の Cinebench CPU は cv 8.09%(3回計測で 5,965/5,135/5,286 と振れる)。 同じ RTX 5070 の Intel版(Core Ultra 7 265 / 5,760 pts・cv 0.17%)や、RTX 5060 Ti の Core Ultra 7 255HX(cv 2.58%)より変動が大きく、計測の再現性を最優先する用途では Intel版が有利です。 GPU は同一のため、用途に応じて「マルチスレッド・AMD標準環境なら本機/再現性重視なら Intel版」と選び分けるのが妥当です。

Cinebench 2026(CPU)
pts / 高いほど良い
Core Ultra 7 265(5070 Ti)EU27507TC
5,825
Core Ultra 7 265(5070)EU275070C
5,760
Core Ultra 7 255HXEN275060TC
5,618
Ryzen 9 9850HX(本機)ER98N5070C
5,286
Core i7-13700ERP74070C
4,024
Core i7-13700HXEN374070C
3,645

※ Cinebench CPU の複数回計測でのばらつき(cv:変動係数 = 標準偏差÷平均×100%): 本機 Ryzen 9 9850HX = 8.09% / Core Ultra 7 265(Intel 5070)= 0.17% / Core Ultra 7 255HX = 2.58% / Core i7-13700HX = 5.48%。値はいずれも3回計測の中央値。

07 / クリエイティブ

写真編集・オフィス(Procyon)— Photo は比較した中でトップ

UL Procyon の写真編集(Photoshop+Lightroom Classic)で 9,882(比較した中でトップ)、 オフィス(Essentials)で 4,766。Photo は Intel版 5070(9,195)や 5060 Ti(8,678)を上回りました。 Photo は GPU 単体ではなく CPU/メモリ/iGPU を含む複合ワークロードで、24スレッドの Ryzen 9 9850HX の強みが表れた結果といえます。

UL Procyon — Photo Editing
score / 高いほど良い
RTX 5070(本機)ER98N5070C
9,882
RTX 5070(Intel)EU275070C
9,195
RTX 5070 TiEU27507TC
8,922
RTX 4070 DesktopERP74070C
8,771
RTX 5060 TiEN275060TC
8,678
RTX 4070 LaptopEN374070C
6,404
UL Procyon — Office (Essentials)
score / 高いほど良い
RTX 5070 TiEU27507TC
4,907
RTX 5070(Intel)EU275070C
4,884
RTX 5070(本機)ER98N5070C
4,766
RTX 4070 DesktopERP74070C
4,685
RTX 5060 TiEN275060TC
4,430
RTX 4070 LaptopEN374070C
3,728
08 / 安定性

複数回計測でのばらつき(再現性・安定性)

本プロジェクトが重視する 安定性指標。複数回計測を実施したテストの変動係数(cv:標準偏差÷平均×100%)を一覧します。 本機は 3DMark・GPUレンダリングが cv 1%未満と安定している一方、Cinebench CPU は cv 8.09%と振れがあります(3回の計測間で 5,135〜5,965 pts と高低差が出ました)。GPU系の再現性は高く、CPU系の単発計測ではばらつきに留意してください。

テスト中央値min–maxcv%計測回
Time Spy Extreme10,36510,361–10,3800.103
Speed Way5,7695,747–5,7940.413
Steel Nomad5,2515,219–5,2520.363
Cinebench GPU73,74473,086–73,7790.533
Cinebench CPU5,2865,135–5,9658.093

※ Blender・ComfyUI・Procyon Photo / Essentials は本機では1回計測のため cv は非算出。3DMark・Cinebench は3回計測の中央値。

安定性を支える冷却・筐体構造

3DMarkおよびGPUレンダリングの複数回計測での変動が小さい(cv 0.1〜0.5%)ことから、GPU側の温度とクロックは安定して維持できていると考えられます。 分解図のとおり、デスクトップGPUカードを 8.48L の小型筐体に収めるため、天板・側面・底面のハニカムメッシュで吸気面を広く確保し、その内側に GPUカード/マザーボードと 500W 80+ Platinum の内蔵電源を立体的に配置しています。

ZOTAC ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C ミニPC分解図 — 天板ハニカムカバー / ファン / GPUカード+マザーボード / メッシュ側板 / 内蔵電源 / 底面トレイ
MAGNUS ONE ER98N5070C の分解図 — 天板ハニカムカバー・ファン・GPUカード+マザーボード・メッシュ側板・内蔵電源・底面トレイ。小型筐体に広い吸気面と冷却経路を確保している。(ZOTAC 公式レンダー)

負荷段階別の実測 — 待機・ゲーム相当・最大負荷

ベンチマーク実行中の GPU を nvidia-smi で1秒間隔で連続記録し、負荷段階ごとに GPU 温度・コアクロック・消費電力・ファン・VRAM を集計しました。小型筐体でも温度とクロックが乱れないかを、実センサー値で確認します。

40 60 80 1000 100 2000 200 ~84°C 持続 GPU温度 (°C) コアクロック (MHz) / GPU消費電力 (W・カード単体) 標準生成 1024px 高解像度生成 1536px 切替の小休止 0 5 10 15 20
ComfyUI(Stable Diffusion XL)で AI 画像を 約21分連続生成した間の実測ログ(nvidia-smi 1秒間隔)。前半は標準解像度(1024px)、後半は高解像度(1536px)。GPU温度 は約84°Cでほぼ一定となり、その持続負荷の最中も コアクロック(約2,700MHz)と 消費電力(約250W・カード単体)はほぼ水平 = サーマルスロットリングなし・電力上限で頭打ち。中央の落ち込みは生成2パターンの切替時の小休止。
状態GPU温度 中央/ピークコアクロック消費電力 中央/ピークファンVRAM
待機(アイドル)約37°Cアイドル約15W0%0.6GB
ゲーム相当(3DMark グラフィックス負荷)80 / 84°C約2,700 MHz249 / 253W〜100%6.4GB
最大負荷(AI連続生成 ComfyUI)84 / 86°C2,707 MHz246 / 253W100%11.8GB

注目は 高負荷でもコアクロックが約 2,700 MHz を維持している点です。GPU 温度が 84°C 前後(ピーク 86°C)の高負荷区間でもクロックはほぼ低下せず(84°C 前後の区間で 2,707 MHz、より低温の 75〜79°C の区間でも 2,722 MHz と、温度差によるクロック低下はごくわずか)、消費電力は GPU の電力上限である約250Wでほぼ一定。つまり本機は 熱ではなく電力リミットで頭打ち=サーマルスロットリングは見られません。8.48L の小型筐体でも、デスクトップ RTX 5070 を温度で絞らず回せていることを示します。最大負荷時はファンが 100% まで上がるため動作音は大きめですが、その分クロックを維持しています。

計測方法 / 出典 上表は計測セッションの nvidia-smi ログ(1秒間隔)から、待機=テスト開始前のアイドル、ゲーム相当=3DMark(Speed Way / Steel Nomad / Time Spy Extreme)の高負荷区間、最大負荷=ComfyUI(SDXL/Hires)連続生成区間を抽出し、中央値・最大値で集計したものです(ベンチスコアの正本 benchmarks.json とは別系統の生センサー値)。実際の市販ゲームの動作計測ではありません。通常のオフィス利用(Procyon Essentials)相当の段は、実測ログの追補後に追記します。
09 / プラットフォーム

プラットフォームと拡張性

MAGNUS ONE の強みは、小型でありながら PCIe 5.0 x16 のデスクトップGPUカードを収める点にあります(本機でも実機ツールで確認)。 本機の CPU は AMD Ryzen 9 9850HX(Fire Range)で、AMD プラットフォームを標準にしている環境や Ryzen 指定の案件で、RTX 5070 級のGPUを小型筐体で運用できます。

本機の I/O も据置ワークステーション並みに充実しています。前面は UHS-II 3-in-1 カードリーダーと USB 3.2 Gen2(Type-A / Type-C)、背面は USB 3.2 Gen2 Type-A ×4 + USB 3.2 Gen1 ×2(USB-C ALT Mode)、映像は DisplayPort 2.1b(UHBR20)×3 + HDMI(最大4画面クローン / 6画面拡張)、ネットワークは 5GbE と Wi-Fi 7。ストレージは M.2 PCIe 5.0 ×2(RAID 0/1 対応)、電源は 500W 80+ Platinum を内蔵します。(Intel版 EU275070C にある Thunderbolt 4・2本目の Gigabit LAN は本機にはありません。)

ER98N5070C 前面: 電源ボタン・UHS-IIカードリーダー・USB 3.2 Gen2(Type-A/Type-C)・オーディオ
ER98N5070C 背面I/O: 5GbE・USB 3.2 Gen2/Gen1・USB-C ALT・HDMI・DisplayPort 2.1b×3+HDMI・電源インレット
左: 前面(カードリーダー・USB 3.2 Gen2・オーディオ・電源ボタン)。右: 背面 I/O(5GbE / USB 3.2 ×6 / USB-C ALT / DisplayPort 2.1b×3+HDMI / 内蔵PSUの電源インレット)。
MAGNUS ONE の主な特徴 ① デスクトップGPU(PCIe 5.0 x16)+ AMD 24スレッドCPU — GPUはIntel版と同一。
② 500W 80+ Platinum 電源を内蔵 — 外部ACアダプター不要で取り回しが良い。
③ M.2 PCIe 5.0 ×2(RAID 0/1)+ 5GbE + Wi-Fi 7④ 4画面出力(DP 2.1b×3+HDMI)を 8.48L に収める。
ER98N5070C 同梱物: Wi-Fiアンテナ×2・USBフラッシュ・電源コード・クイックスタートガイド
同梱物 — Wi-Fiアンテナ×2 / ドライバーUSB / 電源コード / クイックスタートガイド(※同梱は地域・モデルにより異なる)。
10 / 用途

想定される用途

ここまでの実測を踏まえ、本機に適した代表的な用途を、計測結果と結びつけて整理します(中立・実測の範囲での想定です)。

AMD プラットフォーム標準の環境

AMD を標準にしている検証・開発環境や、Ryzen 指定の案件で、RTX 5070 級のGPUを小型筐体で導入したい現場に向きます。 GPU は Intel版 5070 と同一の性能で、3DMarkによるグラフィックス性能・GPUレンダリング・AI を十分にこなせます。

マルチスレッド・混在ワークロード

Ryzen 9 9850HX の 24スレッドは、Procyon Photo 9,882(比較した中でトップ)に表れたように、CPU/iGPU を含む複合ワークロードで強みがあります。 写真・映像編集や、多数のスレッドを使うバッチ処理に向きます。

ローカルAI推論・画像生成(オンプレ)

画像生成AI(Stable Diffusion)が ComfyUI SDXL 9.09 秒/枚と上位級の生成速度で、ネットワークに依存しないローカルAIをこのサイズで構築できます。 VRAM は 12GB のため、扱うモデル規模・解像度・バッチが容量に収まる範囲では本機が速く、容量がボトルネックになる大規模用途では 16GB の 5060 Ti も併せて検討すると選定が安定します。

11 / まとめ

まとめ — どんな現場に向くか

ZBOX MAGNUS ONE ER98N5070C は、AMD プラットフォームで RTX 5070 級のGPUと 12コア24スレッドCPU を小型筐体に収めたい現場に向く一台です。 GPU は Intel版 5070(EU275070C)と同一で、3DMarkによるグラフィックス性能・GPUレンダリング・AI はほぼ同等。Procyon Photo では比較した中でトップを取り、CPU/iGPU 混在ワークロードに強みがあります。 一方、Cinebench CPU の複数回計測でのばらつき(cv 8.09%)は Intel版(cv 0.17%)より大きいため、計測の再現性を最優先するなら Intel版(EU275070C)が候補になります。 AMD 標準環境・マルチスレッド用途なら本機、再現性重視なら Intel版、という選び分けが分かりやすい構図です。

適所マップ

向く

  • AMD プラットフォーム標準・Ryzen 指定の環境
  • 24スレッドを活かすマルチスレッド/混在ワークロード
  • 写真・映像編集(Procyon Photo 比較した中でトップ)
  • オンプレのローカルAI推論・画像生成(速度重視)

他候補が向く

  • 計測の再現性・CPU安定性を最優先 → Intel版 RTX 5070(EU275070C)
  • AI で VRAM 容量最優先 → 16GB の RTX 5060 Ti(MAGNUS EN)
12 / データ

付録: 全ベンチマーク結果

本記事チャートの元数値を一覧にまとめます(すべて 中央値。計測条件は §02、各機の識別も §02 の比較表を参照)。比較はすべて ZBOX MAGNUS 系。

テスト RTX 5070 TiEU27507TCCore Ultra 7 265 RTX 5070(本機)ER98N5070CRyzen 9 9850HX RTX 5070(Intel)EU275070CCore Ultra 7 265 RTX 5060 TiEN275060TCCore Ultra 7 255HX RTX 4070 DesktopERP74070CCore i7-13700 RTX 4070 LaptopEN374070CCore i7-13700HX
Time Spy Extremescore・高いほど良い12,50110,36510,5627,6747,8335,527
3DMark Speed Wayscore・高いほど良い7,4745,7695,8274,1194,4982,951
3DMark Steel Nomadscore・高いほど良い6,6345,2515,2833,6203,9992,662
Cinebench 2026 GPUpts・高いほど良い94,54373,74474,74661,31268,59845,669
Blender Benchmark (OptiX)score・高いほど良い7,6665,8996,0104,3275,3203,608
Cinebench 2026 CPUpts・高いほど良い5,8255,2865,7605,6184,0243,645
ComfyUI SDXL (1024)秒/枚・短いほど良い7.079.099.0512.0810.0815.15
ComfyUI SDXL Hires秒/枚・短いほど良い21.9728.7628.2938.5231.3247.89
Procyon Photo Editingscore・高いほど良い8,9229,8829,1958,6788,7716,404
Procyon Office (Essentials)score・高いほど良い4,9074,7664,8844,4304,6853,728

凡例: 値は3回計測(本機の Blender / ComfyUI / Procyon は1回)の中央値。FAIL=実行したが無効。ComfyUI のみ「秒/枚(短いほど良い)」。

13 / FAQ

よくある質問

RTX 5070 版(ER98N5070C)の3D/ゲーム性能はどのくらい?
3DMark Time Spy Extreme 10,365 / Speed Way 5,769 / Steel Nomad 5,251(3回計測の中央値)。同じ MAGNUS 系の RTX 5060 Ti を約35〜45%上回り、比較した中では 5070 Ti・Intel版に次ぐ上位グループです。GPUは Intel版 5070(EU275070C)と同一のため、3D性能はほぼ同等です。
Intel版(EU275070C)とAMD版(本機)の RTX 5070 はどう違う?
GPUはどちらも同じデスクトップ RTX 5070 で、3D・GPUレンダリング・AIの性能はほぼ同等です。違いは CPU で、本機は AMD Ryzen 9 9850HX(24スレッド)、Intel版は Core Ultra 7 265(20スレッド)。本機は Procyon Photo で比較した中でトップ(9,882)を取る一方、Cinebench CPU は 5,286 pts・cv 8.09% と、Intel版(5,760 pts・cv 0.17%)より変動が大きめです。AMD 標準環境・マルチスレッド用途は本機、計測再現性最優先なら Intel版が向きます。
ローカルの画像生成AI(Stable Diffusion)に使える?12GB VRAM の位置づけは?
ComfyUI の SDXL 1024×1024 / 30ステップで 9.09 秒/枚、Hires.Fix で 28.76 秒/枚。RTX 5060 Ti(12.08 秒/枚)より約25%高速で、Intel版 5070 とはほぼ同じです。ただし VRAM は 12GB(192-bit GDDR7)で、容量では 16GB の 5060 Ti を下回ります。生成速度重視なら本機、大規模モデルや高解像度バッチで容量を重視するなら 16GB の 5060 Ti が候補です。
CPU(Ryzen 9 9850HX)の特性と向く業務は?
12コア24スレッド(SMT)で Cinebench 2026 CPU 5,286 pts。スレッド数は Intel版(20スレッド)より多く、Procyon Photo のような CPU/iGPU 混在ワークロードで比較した中でトップ(9,882)でした。一方 Cinebench CPU の複数回計測でのばらつきは cv 8.09% とやや大きく、計測の再現性を最優先する用途では Intel版(Core Ultra 7 265 / cv 0.17%)が有利です。AMD 標準環境やマルチスレッド処理に向きます。